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脱毛業界が正念場、エステ脱毛が医療脱毛を支援、業界団体が協力要請、ミュゼプラチナムがアリシア会員救済の動き、一方でミュゼには給料遅配の報告【編集長コラム】

2024年12月10日に経営破たんしたアリシアクリニック(本人のインスタグラムより)

2024年12月10日に経営破たんしたアリシアクリニック(本人のインスタグラムより)

 アリシアクリニックの運営が2024年12月10日に経営破たんし、9万人を超える会員が困難な状況に直面している。

 救済の動きが出ているが、救済企業には懸念される報告も出ている。脱毛業界は正念場を迎えている。

アリシアクリニックの引き継ぎ支援

・救済の動き: アリシアクリニック倒産を受けて、医療脱毛やエステ脱毛業界が救済を実施中。
・日本エステティック経営者会の対応:倒産したC3や銀座カラーに続き、今回も救済を後押し。
・ミュゼプラチナムなどが救済:カウンセリング予約時に「引き継ぎ支援制度(アリシア)」を選択し、契約証明書を持参。

 ヒフコNEWSで伝えているように、アリシアクリニック倒産を受けて、医療脱毛やエステ脱毛が救済に向けた動きを見せている。一方で、救済の内容が値引き中心であるため、実質的に営業行為ではないかという賛否の声も上がっている。

 そうした中で、日本エステティック経営者会が救済を呼びかけた。同会は、2023年のC3や銀座カラー倒産時にも会員企業による救済を後押ししていた組織であり、今回も同様に動いた結果、脱毛大手のミュゼプラチナムなど3つの同グループ施設が「引き継ぎ支援」を行うと表明した。医療脱毛がエステ業界に救われるという異例の形といえる。

 具体的には、エステ脱毛のミュゼプラチナムは最大32万6000円、男性エステ脱毛のメンズミュゼプラチナムは最大52万8000円、医療脱毛を行うミュゼクリニックは最大35万1000円をそれぞれ値引きする内容だ。

 対象の一次受付は2024年12月21日から25年1月31日まで。カウンセリング予約を行う際に、「引き継ぎ支援制度(アリシア)」の項目を選び、アリシアの契約を示すものを持参することで支援を受けられる内容となっている。値引きの上限は契約内容によって異なると説明している。これまでの一連のアリシア救済関連の動きの中でも、今回の値引き額は大きく、内容が充実している可能性がある。

 また、ミュゼプラチナムでは、雇用支援制度も設けており、アリシアのスタッフを1月以降に雇用するための支援も行うと説明している。退職直前の給与水準を6カ月間維持することなどが含まれている。

ミュゼプラチナムでは給料の支払いが遅れた

・支援の懸念:ミュゼプラチナムの給料支払い遅延やテナント家賃の支払い遅延が報告されている。
・資金繰りの問題:社会保険庁による口座差し押さえが資金繰りの悪化を招いた。
・給与支払いの解消:11月25日の支払い遅延が12月6日に解消された。

 こうしたアリシア支援の動きがある一方で、心配な点もある。

 東京商工リサーチが、ミュゼプラチナムの運営社長に対してインタビューをし、その内容を12月16日に公開しているのだが、その中で、ミュゼプラチナムの給料支払いが遅れていることを伝えているからだ。

 ミュゼプラチナムは運営会社の変更が続いており、その中で10月に経営破たんした船井電機の支援を受けたことが大きく注目されている。

 東京商工リサーチのリポートによると、社会保険庁による運営会社の口座差し押さえが資金繰りの悪化を招いたことが明らかになっている。

 さらに、11月25日に給料の支払い遅延が発生し、12月6日までに解消されたことも伝えられている。また、テナント家賃の支払い遅延も発生している。

 ミュゼプラチナムの運営社長は、投資家からの資金を得ることができて、年内に正常化すると説明している。

 ヒフコNEWSには、アリシアに関連した情報がほかにも寄せられているが、不透明な経営内容を指摘するような話が含まれている。問題は、こうした状況が利用している人たちに何ら伝わらないまま、信頼して契約していること。結果として経営破たんした場合、一般の人たちが無残に被害に遭っていることだ。最近までの経緯を見る限り、アリシアの経営破たんを含む脱毛業界の混迷は、当面続くことが予想される。エステ脱毛や医療脱毛の倒産から得られる教訓として、当面は脱毛のコース契約を避けることが賢明と考えられる。

参考文献

日本エステティック経営者会

ミュゼプラチナム、支払い遅延と資金調達 ~運営会社「MPH」三原社長、単独インタビュー~ 2024/12/16

アリシアクリニック経営破たんで救済の動き 1回低価格など値引きが中心に、SNSで賛否両論の声も、昨年の銀座カラー破たん時よりも被害者に不利な状況か

「銀座カラー」倒産を受け利用者救済、ミュゼプラチナムなど5社が支援、業界団体が協力依頼

【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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