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鉄サプリメント、海外製品で過剰摂取、10~20代の健康被害、日本人の食事摂取基準を超える鉄含有量、口内炎や歯ぐきの腫れなど、国民生活センターが注意喚起

医師から国民生活センターに提供された10代女性の鉄過剰症の画像診断。肝臓、脾臓、骨髄が低信号(黒く映る)で、鉄沈着が疑われた(国民生活センターの公式サイトより)

医師から国民生活センターに提供された10代女性の鉄過剰症の画像診断。肝臓、脾臓、骨髄が低信号(黒く映る)で、鉄沈着が疑われた(国民生活センターの公式サイトより)

 鉄分を補給するための海外製品サプリメントの長期使用により、10~20代の健康被害が日本国内で相次いで報告された。

 2024年12月、国民生活センターが調査結果を示した上で注意喚起している。

長期使用で健康リスク増大

 鉄は人体に必要なミネラルの一つであり、不足すると貧血などの健康問題が生じる。しかし、過剰摂取は肝臓や心臓、内分泌系への悪影響をもたらし、健康障害を引き起こす可能性がある。

 今回、医師が事故情報を国民生活センターに報告したことから判明したものだった。海外製品の鉄サプリの使用で鉄が過剰になるというケースだった。

 報告された事例では、ある10代女性が一日54~108mgの鉄を約3年間摂取した結果、「続発性鉄過剰症」と診断された。口内炎や歯ぐきの腫れがあったほか、肝臓や脾臓、骨髄に鉄が沈着していることが確認された。

 日本人女性18~64歳の1日の推奨摂取量は、月経ありで10.0~10.5mg/日、月経なしの場合は6.0mg/日なので、10倍以上を摂っていたことになる。なお、男性で7.0~7.5mg。

 しかも、当初、血液中の鉄分を示す血清フェリチンが2194ng/mlで、正常域が25~250ng/mlとされているので、最大値で比べても8倍程度の水準だったことになる。この女性は2年間、血液を放出するなどの治療を受けた結果、2年後に、血清フェリチンが733.5ng/mlまで低下したが、これでも正常域の最大値の3倍程度保たれていることになる。

 このほかにも、20代女性が36mgの鉄を11カ月間摂取し、肝機能障害が疑われる事例が報告された。

 使用されていた製品のパッケージには、米国の1日摂取量を基準とした表示が記載されていたが、日本人の推奨量を大きく上回る基準だった。

日本人に合った摂取量の重要性

 国民生活センターでは、ネット販売されていた海外製品5銘柄の鉄サプリを調査している。

 これによると、いずれも日本人の食事摂取基準に示された推奨量を超える鉄を含んでいた。そのうち2銘柄では、パッケージ表示よりも実際の含有量が10mg以上多いことが判明しており、摂取基準を守ったとしても過剰摂取につながるリスクがあった。調査対象銘柄の鉄含有量は54~108mgと、推奨量を大幅に超過していた。

 国民生活センターは、成分量や注意表示をよく確認し、過剰摂取を避けるよう呼びかけている。また、鉄の不足が懸念される場合は、医療機関を受診し、適切な指導を受けることが推奨される。

参考文献

海外事業者の鉄サプリメントの長期使用により鉄過剰症を発症

サプリメントの品質管理が厳しく、健康被害の情報提供を義務化、薬並み「GMP」製造管理も、森下竜一氏が国の方針を解説、第24回日本抗加齢医学会総会が開催

【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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