『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)主演の広瀬すず
たくさんのドラマが放送されている地上波テレビ。この1月期の見どころはどこにあるのか? 放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、ヒロインに注目し、1月期のドラマについて綴る。
愛らしいルックスから想像できない演技を見せてくれる
1月期のドラマが出揃いました。皆さんのお気に入りはどの作品ですか?
初回を一通り見た時点での私のベスト3は、波瑠さん(33才)主演の『アイシー~瞬間記憶捜査・柊班~』(フジテレビ系)、広瀬すずさん(26才)主演の『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)、そして市川実日子さん(46才)主演の『ホットスポット』(日本テレビ系)となりました。
『アイシー~』は完全オリジナルの本格派刑事ドラマ。フジテレビのCMの多くがACジャパンに差し替わる中、同作についても残念ながらその話題ばかりが先行していますが、波瑠さんの代表作の一本となりそうな秀作という予感がします。
彼女がこれまで演じてきた“お仕事ドラマ”の中でもっともシリアス。昨年12月31日をもって「ホリ・エージェンシー」を退所し、共に活動してきたマネジャーさんたちと仕事を続けていく波瑠さん。NHK連続テレビ小説『あさが来た』のヒロインオーディションを“4度目の挑戦”で射止めて以来、主演を張り続けてきた波瑠さんをますます応援したいと思います。
思えば、広瀬すずさんも『なつぞら』で、連続テレビ小説100作目のヒロインを務めましたよね。
広瀬さんというと、その抜群のルックスの方が勝ってしまって「カワイイだけでしょ?」と勘違いをされているかたも少なくないように思いますが、それは大きな誤解です。私は広瀬さんの演技はシリアスな作品になればなるほど光ると確信しています。複数の映画賞に輝いた『三度目の殺人』や『流浪の月』の広瀬さんは本当にすばらしかった。『クジャク~』での松山ケンイチさん(39才)とのテンポ感あるやりとりにも彼女の成長を感じます。
そして『ホットスポット』が民放の連続ドラマ初主演となった市川実日子さんは、ヒロインではありませんが現在、絶賛再放送中の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の「るい編」にタイミングよくご出演。くしくも『カムカム~』ではオダギリジョーさん(48才)、『ホット~』では東京03の角田晃広さん(51才)という2人の“宇宙人”とすてきに対峙されています。
『カムカム~』といえば、“朝ドラ”のナンバーワン作品として挙げる視聴者の皆さんや専門家が本当に多いのですが、なかでも「安子編」は人気があります。その安子=上白石萌音さん(27才)は1月期、『法廷のドラゴン』(テレビ東京系)に主演されています。もともと将棋のプロの道を志していたのに弁護士に転向する、上白石さんいわく「珍しい掛け合わせ」。いや、珍しすぎるでしょ!
私は彼女の主演映画『舞妓はレディ』からのウオッチャーですが、どんな作品にも真摯に取り組み、地味ながらも大輪の花を咲かせる上白石さん。だからこそできる今回の役だと思っています。
小柄で愛らしいルックスからは想像できない迫力や強さあふれる演技を見せてくれるかた。彼女はこれから大竹しのぶさん(67才)のような女優さんになっていくのではないかと思っているところです。