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羽生結弦、アイスショーで結ぶ能登との絆 被災した輪島朝市から複数の店舗がショーに出店、14歳の孫娘を亡くした漆芸工房の男性は「きっと見守ってくれていると思う」

被災地に何度も足を運び続けた羽生結弦(写真/AFLOsports)

被災地に何度も足を運び続けた羽生結弦(写真/AFLOsports)

 被災地出身のスケーターとして、災害で傷ついた人々に誰よりも心を寄せてきた羽生結弦(30才)。昨年、立て続けに惨事に見舞われた能登半島にも何度も足を運び、惨状と向き合った。能登の人々が見た彼の素顔、そして彼がすくいとった、ある遺族の思いとは──。

「絶対元気でいてくださいね、みなさんね」

 昨年9月、羽生結弦(30才)は、相次ぐ災害に見舞われて打ちひしがれる石川県の輪島朝市の人々の思いを聞き、こう声をかけた。この頃には羽生の頭の中に“計画”が浮かんでいたのかもしれない。新たな復興支援の形として──。

 昨年、能登半島は大災害が相次いだ。元日に最大震度7を記録する大地震が発生。さらに、地震からの復興の兆しが見えてきた最中の9月、輪島市など奥能登地方を今度は豪雨が襲った。宮城県仙台市出身の羽生は東日本大震災の被災者であり、被災地に寄り添う気持ちが人一倍強い。

「羽生さんはこれまで、被災地に多額の寄付を行ってきました。金メダルを獲得したソチ五輪・平昌五輪の報奨金はすべて宮城県と仙台市に寄付。また、2022年に行われた『羽生結弦展2022』では、グッズ収益から大規模災害支援基金に1.5億円あまりを寄付するなど、寄付の総額は3億円以上にのぼっています。

 昨年9月には、羽生さんが“能登の被災地のために何かしたい”と呼びかけ、金沢市内で『能登半島復興支援チャリティー演技会』を開催。より多くの金額を寄付にまわすため、照明を最低限にするなどコスト削減に工夫を凝らした。4500円の配信チケットは1万枚以上が売れ、4000万円以上が寄付されました」(スケート関係者)

 そんな羽生にとって、特に思い入れの深いアイスショーの開催が近づいている。3月7日から9日までの3日間、地元・宮城で行われる『羽生結弦 notte stellata 2025』だ。

「羽生さんがプロ転向した翌年の2023年に始まり、今年で3度目の開催を数えます。『notte stellata』とは、イタリア語で《満天の星》《星月夜》という意味。東日本大震災が発生した日の夜、羽生さんが避難所から夜空を見上げると、満天の星が広がっていた。羽生さんはそこに希望を感じたそうです。このアイスショーには、“人々に、少しでも笑顔になれるような希望を届けたい”という羽生さんの思いが込められています」(前出・スケート関係者)

 能登で復興に励む人々を勇気づけるため、羽生はとある“はからい”を用意した。地震で大きな被害を受けた輪島朝市から数店舗、今回のアイスショーの会場に出張店舗を出すことになったのだ。

「輪島朝市は、新鮮な魚や野菜、地場の工芸品などを販売する露店が並び、観光名所として知られていました。しかし、昨年の地震によって発生した火災で朝市はほとんど焼失。そこで露店を営んでいた多くの人々が店や家を失うことになりました。羽生さんの主催するイベントには多くのファンが訪れるため、出店すればかなりの利益が見込まれます。彼らを勇気づけるだけでなく、被災地の特産品や特産物が広く知られるきっかけになればいいという彼の思いを感じます」(社会部記者)

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