ライフ

「駅と電車内の迷惑行為ランキング」の変遷から考える車内マナー

イメージカット

些細なことからトラブルになりがち(イメージカット)

 ストレス社会ではどこから批判が飛んでくるかわからない。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * * *
 混雑している電車内では、誰もがギリギリの精神状態に追い詰められています。心に余裕がないからか、自分勝手な振る舞いやちょっとしたマナー違反に遭遇すると、激しい怒りや憎しみを抱きがち。心穏やかに乗るのは、なかなか容易ではありません。

 先日もSNS上で、電車内での「リュックの持ち方」が話題になりました。7、8年ぐらい前からでしょうか、電車内ではリュックを前に抱えて乗るのが“マナー”であり“常識”になっています。鉄道会社のマナー広告でも「前抱え」が推奨されてきました。

 しかし、ここにきて「前抱えも迷惑」という声が上がっています。非難される理由のひとつが「前にリュックを抱えてその上でスマホを持って操作すると、両方に肘を張って邪魔だから」というもの。かといって、背負ったら背負ったで余計に邪魔です。

リュックを持っている当人は「前抱えしている自分はマナーを守っている」と油断して、広げた肘が周囲に迷惑をかけていることに気づかないのでしょう。横の人がイラッとするのは当然として、離れた場所にいて被害を受けていない人も、その様子を見ると激しくムカムカせずにはいられません。どちらも、余裕がない精神状態の成せる業と言えます。

四半世紀前は「携帯電話」や「たばこ」が迷惑行為の上位だった

 一般社団法人日本民営鉄道協会では、2000(平成12)年から毎年「駅と電車内のマナーに関するアンケート」を実施しています。回答者は、提示された項目の中から「迷惑」と感じるものを選びます。最新の2024年度版で「迷惑行為ランキング」のトップ5になったのは、次のような顔ぶれでした。

1位「周囲に配慮せず咳やくしゃみをする」(昨年2位)

2位「座席の座り方(詰めない・足を伸ばす等)」(昨年1位)

3位「騒々しい会話・はしゃぎまわり」(昨年4位)

4位「強い香り(香水・洗剤・柔軟剤・化粧品等)」(昨年7位)

5位「乗降時のマナー(扉付近で妨げる等)」(昨年3位)

 ちなみに「荷物の持ち方・置き方(鞄・傘等)」は7位にランクインしています。1位の「咳やクシャミ」の項目は、2019年のアンケートから新たに追加されました。

 リュックの抱え方もですが、車内でのベビーカーも10年程前から、それまでの「畳むべきだ」から「畳まなくても大丈夫」が共通認識になっています。電車内における「マナーの常識」は、目まぐるしく変化しています。目の敵にされがちな「マナー違反」も移り変わってきました。

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン