2019年・性暴力被害者に寄り添う意思を示す住民運動が「フラワーデモ」と呼ばれるようになった(時事通信フォト)

2019年・性暴力被害者に寄り添う意思を示す住民運動が「フラワーデモ」と呼ばれるようになった(時事通信フォト)

 この判決文を書いた佐藤裁判長が、過去にも性犯罪事件で同様の判決を下していたことが支援者たちの怒りをさらにかき立てた側面もあるだろう。

「那覇地裁では6月にも強制性交等致傷罪に問われた被告が無罪になっています。被害者は被告と顔見知りで仕事上の付き合いもあった。被害者は出張先で被害に遭っているのですが、裁判所は『同意はなかった』としたものの、11月の判決と同じく『性交に同意していない可能性があることを認識していたとは認められない』と判断しています。

 法廷では、被害者が『痛い、やめて』と声をあげ、被告の手を掴むなどの抵抗をしたことを証言しましたが、抵抗の力の『強弱』や被害者の声の『大小』が『明らかでない』とされた。『性的接触を拒否する意思を強く明確に示すものであったとは認め難い』として被害者が強く抵抗できなかったことが、被告側に有利に働いたという側面は否めません」(同前)

 那覇地裁での2つの「無罪判決」は、いずれも裁判員裁判の対象事件だったこともあり、「裁判長の意向がそのまま判決に反映されていない」(地元法曹関係者)との見方もある。性暴力事件に限らず、裁判員裁判の対象事件の公判では、地裁と高裁での判断が分かれる事例は少なくないともされる。

 この現状について、性暴力事件の被害者支援に関わる、ある弁護士は別の問題点を指摘する。 

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