デビッド・フレッチャーが今年1月に告知していた「チャリティー・ポーカー」(フレッチャーのSNSより)

デビッド・フレッチャーが今年1月に告知していた「チャリティー・ポーカー」(フレッチャーのSNSより)

「発覚」が遅れた理由

水原は2年にわたって違法賭博に手を染め、大谷の口座から詐取した金額は約26億円にものぼる。

 なぜ2年もの間、大谷や球団関係者を含めた周囲は、水原の銀行詐欺、そして違法賭博に気づかなかったのか。それを知るには、ボウヤーの“やり口”を紐解く必要がある。

 ボウヤーは昨年6月、違法賭博業の罪で訴追され、その後の司法取引に合意している。裁判資料によると、彼は2023年10月ごろまで、5年以上にわたってスポーツ賭博を違法に運営していた。共犯者は少なくとも5人で、賭博のサイトは南米コスタリカが拠点。抱えていた顧客は約700人に上り、その中に水原とフレッチャーが含まれていた。

 違法賭博に詳しい米ウェイク・フォレスト大学経済学部のコールマン・ストランフ教授は、その特性をこう説明する。

「違法な胴元は月々の賭け金総額や収益について各州政府に報告しない上、顧客には『つけ』で賭けさせる。特に前者は、著名人の口座が使われた今回のようなケースでは発覚を防ぐのに重要だ」

 合法なスポーツ賭博の場合は賭ける時に賭け金が必要になるが、違法な胴元が相手だと、後払いで済む。訴状を読む限り、水原は「つけ」で賭け始めたが、負けが込んで大谷のカネに手をつけ、賭け金の上限を引き上げてもらってさらに「つけ」で賭け続け、ドツボにはまったとみられる。

 しかし、ボウヤーがそうした経緯を州政府に報告せず、結果、違法行為が野放しにされたために、水原の“負け額”が膨れ上がったのではないか。

 ボウヤーは水原の量刑言い渡し直前、ニューヨーク・ポストの取材に事件後初めて口を開いた。

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