スポーツ
人生で残酷なことはドラゴンズに教えられた

【日中問題の専門家が語る“中日愛”】頭部に二度の死球を受けた名手・高木、「戦力外」与那嶺の復讐劇…ドラ戦士は巨人との因縁を背負ってこそ輝く

2025シーズン、井上一樹監督のもと中日の復権はなるか(時事通信フォト)

2025シーズン、井上一樹監督のもと中日の復権はなるか(時事通信フォト)

 井上一樹・新監督のもと2025年シーズン開幕を迎える中日。そのドラゴンズに50年以上も熱い声援を送り続ける大学教授がいる。新書『人生で残酷なことはドラゴンズに教えられた』の著者・富坂聰氏(拓殖大学海外事情研究所教授)は、物心ついた頃からドラゴンズにのめり込んだ。富坂氏が綴るシリーズの第2回は、元祖ミスタードラゴンズ・高木守道選手や、巨人V10を阻止した与那嶺要・監督とライバル・巨人との因縁について綴る(シリーズ第2回。第1回から読む)。

 * * *
 ところで高木(守道)、ジャイアンツとの間には浅からぬ因縁も抱えていた。相手は「悪太郎」の異名を持つ巨人のエース・堀内恒夫投手だ。

 高木はなんと堀内から顔面デッドボールを喰らっている。

 顔面だ。悪質だ。

 七色の変化球を操ると評された堀内だから、けっして剛速球じゃない。とはいえプロの球だ。顔面にデッドボールはさすがに一大事だ。復帰を危ぶむ声もあった。しかし高木は、不死鳥のように蘇った。美しい復活劇だが、ストーリーはここで終わりではなかった。

 なんと悪太郎、その復帰した不倒翁にまたしてもボールをぶつけやがった。しかも頭部に。見事な無法者っぷりで、マカロニウエスタンの悪役もびっくりだ。

 しかし、時は昭和。「ジャイアンツとの深い因縁」を背負ってこそドラ戦士。というわけで、この死球によっていみじくも高木は「真のミスタードラゴンズ」となる。

 ジャイアンツへの復讐劇、これこそドラファンの大好物だ。

幼心に響いた与那嶺要の「ざまあみろ!」

 水原茂監督もそうだが、インパクトの点では何といっても与那嶺要監督だ。

 選手時代の与那嶺は、ジャイアンツで「打撃の神様」と呼ばれた川上哲治選手と激しく首位打者を争うライバルだった。

 ハワイ生まれの日系人、与那嶺は心優しき野球人だった。有名なエピソードがある。王貞治選手が少年だった頃の話だ。貧しくて本物のボールを買えなかった王少年がゴムボールを持って球場に行き、ジャイアンツの選手にサインをお願いすると、ほとんどの選手は王少年を無視して通り過ぎた。憧れのスターたちが次々と前を素通りするなか、与那嶺だけがただ一人、王少年のゴムボールに快くサインをしてくれたという。

 その優しい与那嶺を戦力外として放出したのは、巨人の新監督となった川上だった。

関連記事

トピックス

“教育虐待”を受けたと主張する戸田容疑者の家庭環境とは── (時事通信社)
「母親から数万円の振り込み断られた」東大前駅切りつけ事件・戸田佳孝容疑者(43)の犯行動機に見える「失われた世代」の困難《50万人以上の高齢者が子に仕送りの推計データも》
NEWSポストセブン
府中刑務所の食事見本。ふりかけや、佃煮らしき小鉢が見える。2024年2月報道向け公開時(AFP=時事)
暴力団幹部が定食屋で「勘弁してくれよ」と言った事情 目の前にはアミの佃煮、たくわん、塩辛など「ご飯のおとも」がずらり
NEWSポストセブン
秋篠宮と眞子さん夫妻の距離感は(左・宮内庁提供、右・女性セブン)
「悠仁さまの成年式延期」は出産控えた姉・眞子さんへの配慮だった可能性「9月開催で眞子さんの“初里帰り”&秋篠宮ご夫妻と“初孫”の対面実現も」
NEWSポストセブン
1998年にシングル『SACHI』でデビューした歌手のSILVA(ブログより)
《“愛の伝道師”として活躍した歌手SILVAの今》母として『子どもの性教育』講師活動、マイクを握れば「投げ銭ライブ」に「2200円の激安ボイトレレッスン」の出血大サービスも
NEWSポストセブン
性的パーティーを主催していたと見られるコムズ被告(Getty Images)
《フリーク・オフ衝撃の実態》「全身常にピカピカに」コムズ被告が女性に命じた“5分おきの全身ベビーオイル塗り直し”、性的人身売買裁判の行方は
NEWSポストセブン
大食いYouTuber・おごせ綾さん
《体重28.8kgの大食いタレント》おごせ綾(34)“健康が心配になる”特殊すぎる食生活、テレビ出演で「さすがに痩せすぎ」と話題
NEWSポストセブン
美智子さまが初ひ孫を抱くのはいつの日になるだろうか(左・JMPA。右・女性セブン)
【小室眞子さんが出産】美智子さまと上皇さまに初ひ孫を抱いてほしい…初孫として大きな愛を受けてきた眞子さんの思い
女性セブン
宮城野親方
《元横綱・白鵬の宮城野親方「退職情報」に注目集まる》一度は本人が否定も、大の里の横綱昇進のなかで「祝賀ムードに水を差さなければいいが…」と関係者が懸念
NEWSポストセブン
出産を間近に控える眞子さん
眞子さん&小室圭さんがしていた第1子誕生直前の “出産準備”「購入した新居はレンガ造りの一戸建て」「引っ越し前後にDIY用品をショッピング」
NEWSポストセブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《永野芽郁が見せた涙とファイティングポーズ》「まさか自分が報道されるなんて…」『キャスター』打ち上げではにかみながら誓った“女優継続スピーチ”
NEWSポストセブン
子育てのために一戸建てを購入した小室圭さん
【眞子さん極秘出産&築40年近い中古の一戸建て】小室圭さん、アメリカで約1億円マイホーム購入 「頭金600万円」強気の返済計画、今後の収入アップを確信しているのか
女性セブン
カジュアルな服装の小室さん夫妻(2025年5月)
《親子スリーショットで話題》小室眞子さん“ゆったりすぎるコート”で貫いた「国民感情を配慮した極秘出産」、識者は「十分配慮のうえ臨まれていたのでは」
NEWSポストセブン