国際情報

NewJeansはなぜ「活動休止」に追い込まれたのか? 弁護士が語る韓国芸能事務所の「解除できない契約」と日韓での違い

NewJeans「活動休止」の背景とは(時事通信フォト)

NewJeans「活動休止」の背景とは(時事通信フォト)

 韓国の大人気ガールズグループ「NewJeans(ニュージーンズ)」が3月24日に活動休止を宣言した。NewJeansは2021年にデビューした5人組K-POPアイドルグループ。メンバーは韓国人3人と韓国系オーストラリア人1人、ベトナム系オーストラリア人1人で、日本でも人気を博して2023年のNHK紅白歌合戦に特別企画で出場した。順風満帆だった少女たちに何が起こったのか。

 トラブルの発端は、NewJeansの生みの親で、所属事務所ADOR元代表のミン・ヒジン氏と、ADORの親会社であるHYBEの経営権を巡る対立だった。ソウル在住の韓国芸能に詳しいコ・サンロク弁護士が解説する。

「NewJeansのメンバーは敬愛するミン氏が辞任したことに伴って昨年11月にADORとの専属契約を解除すると発表。すると翌月、ADORが『専属契約の有効性の確認』を求めてソウル中央地裁に提訴しました。さらにADORは事務所を通さない広告契約締結の禁止や、音楽活動をはじめとする芸能活動の禁止を申し立てました」

 3月21日、ソウル中央地裁がADORの申し立てを認め、メンバーの独自活動を禁じる判断を下した。この決定を受けてNewJeansは活動休止を宣言した。この騒動の争点のひとつが、ADORが訴えた「専属契約の有効性」だ。

「専属契約は、タレントが一定期間、特定の所属会社にのみ所属して活動することを約束する契約で、強い独占性を持っています。例えば、客観的に認められる健康上の理由など、専属契約で定めた特別な事情に該当しないのに、タレントが一方的に活動中止を宣言すると専属契約違反となり、タレント側に契約違反による民事的責任が発生するケースがあります。今回のNewJeansの件は、裁判所が専属契約の有効性を認めた事案です」(コ弁護士)

 韓国で、強い独占性を持つ専属契約が求められる背景には、事務所サイドとタレントサイド双方のニーズがあるという。

「K-POPの事務所は新人タレントを育てるため数百億ウォン(数十億円)を投資します。成功するかわからないタレントの育成に巨費を投じるには、“保険”として一定期間の独占性のある専属契約を結ぶことが欠かせません。一方、大きな投資を受けてスターになりたい練習生は、事務所に庇護されるために専属契約を求める構造があります」(同前)

関連キーワード

関連記事

トピックス

都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト)
《横綱昇進》祖父が語る“怪物”大の里の子ども時代「生まれたときから大きく、朝ご飯は2回」「負けず嫌いじゃなかった」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヤクザが路上で客引きをしていた男性を脅すのにトクリュウを呼んで逮捕された(時事通信フォト)
《ヤクザとトクリュウの上下関係が不明に》大阪ミナミでトクリュウを集めて客引き男性を脅して暴力団幹部が逮捕 この事件で”用心棒”はどっちだったのか 
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト))
《地元秘話》横綱昇進の“怪物”大の里は唯一無二の愛されキャラ「トイレにひとりで行けないくらい怖がり」「友達も多くてニコニコしてかわいい子だったわ」
NEWSポストセブン
ミスタープロ野球として、日本中から愛された長嶋茂雄さんが6月3日、89才で亡くなった
長島三奈さん、自身の誕生日に父・長嶋茂雄さんが死去 どんな思いで偉大すぎる父を長年サポートし続けてきたのか
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
金髪美女インフルエンサー(26)が “性的暴力を助長する”と批判殺到の「ふれあい動物園」企画直前にアカウント停止《1000人以上の男性と関係を持つ企画で話題に》
NEWSポストセブン
逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
東京・昭島市周辺地域の下水処理を行っている多摩川上流水再生センター
《ウンコは資源》排泄大国ニッポンが抱える“黄金の資源”を活用できてない問題「江戸時代の取引金額は10億円前後」「北朝鮮では売買・窃盗の対象にも」
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン