ライフ

インバウンド客が行列をつくる「レトロな喫茶店」 マスターが悩まされる支払いトラブル「ドルしかない」客に「コンビニでおろしてきて」と伝えても「十中八九、戻ってこない」

チェーン店ではない昔ながらのレトロな喫茶店は日本の若者だけでなくインバウンド客からも人気を集めている(写真提供/イメージマート)

チェーン店ではない昔ながらのレトロな喫茶店は日本の若者だけでなくインバウンド客からも人気を集めている(写真提供/イメージマート)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、インバウンド客が急増した街の小さな喫茶店が悩まされている支払いトラブルについて。

 * * *
 店のドアを開け、外国人の3人組が出て行った。「明日来ると言って出て行った客が、本当に戻ってくることは、まずないと言っていいね」。2人組の後姿を見送りながら、マスターは苦虫をかみつぶしたような表情を見せた。

 都内にあるレトロな喫茶店は、今、インバウンドの客で大混雑だ。今時、タバコが吸えるとあって、喫煙者に取材する時はよく使っていた店だが、コロナ禍が終わった頃から様相が一変。コロナ前はいつ行っても店に入ることができ、常連さんたちが珈琲を飲みながらタバコを吸い、江戸っ子的な気っ風のいい名物マスターの辛口トークを楽しんだり、マスター自慢の一品に舌鼓を打ったりしていた。ところが今は、早朝から店の前に大行列ができ、入ることすらできなくなった。常連客は姿を消し、タバコを喫う客はもはや1人もいない。

 久々に入れた店の中は、冷え込んだ日にもかかわらず蒸し暑かった。25人ほどで満席になる店内はインバウンド客でびっしり。その熱気で暖房がいらないほどだ。昭和感満載のレトロな店内から窓の外を見ると、さらに入店待ちの行列が伸びていた。「ほとんど外国の観光客だよ。早いと朝6時から並んでいるんだから、びっくりだよ」とマスター。開店より2~3時間早く待っているという。「もう慣れたけどさ。窓から見て、あそこの電信柱の所まで並んでいたら、待ちはだいたい45人と見当がつくようになった」とひっきりなしに手を動かす。

 行列ができるようになったのは、外国人観光客たちのSNSだ。来店した客がSNSにアップした写真や動画が拡散され、続々と外国人客が訪れるようになった。「前は外国人といえば仕事で日本にきたビジネス客。今は世界各国どこからでもやってくる」というマスターに、女性の2人組が「Can I take a photo?(写真を撮ってもいい?)」と尋ねる。マスターは笑顔を見せて「OK」と、2人と一緒にカメラのフレームに収まり、最高の笑顔を見せた。なかなかシャッターを切らない客には「早く早く、待ってらんないよ」と催促。「こっちは時間との勝負なんだからさ。いちいち客に合わせていらんないよ。だって1日150枚だよ」とうんざりした顔をする。一緒に写真を撮りたがる客が1日平均150組いるのだ。

関連記事

トピックス

9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
オンラインカジノを利用していたことが判明した山本賢太アナウンサー(ホームページより)
フジテレビ・山本賢太アナのオンラインカジノ問題で懸念される“局内汚染”「中居氏の問題もあるなかで弱り目に祟り目のダメージになる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン