蛯名正義氏が調教師として初めて臨んだ桜花賞について振り返る
1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏は、2022年3月から調教師として活動中だ。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、桜花賞について振り返る。
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4月13日に阪神競馬場で行なわれた3歳牝馬クラシックの桜花賞に調教師として初めて臨みました。良馬場を期待していましたが、天気予報で雨。しかも昼ごろまでは小雨だったのが、パドックでの周回が始まった頃に更に強くなってきました。
どの馬もよく見えて、さすがにGI、どの陣営もちゃんと仕上げてきていて素晴らしかったですね。パドックで迎えてくれたクラブや牧場のスタッフからは「桜花賞に間に合いましたね」「出られてよかったですね」と言っていただき、感謝の気持ちでいっぱい。プリムツァールは大舞台でも落ち着いており、お行儀よく歩いているのがこの馬らしいなと感心しました。オッズを見たら、最低の18番人気でしたが、そこまで人気ないのか……もっともオッズがどうこうではなく、この馬の競馬をすればいいだけです。
前の週の追い切りで仕上がっていたので、当該週はビシッと追う必要はなかった。馬の気持ち本位で、いい状態をキープして本番を迎えられることに気を使ってきました。美浦トレセンを12日(土)の朝4時に出発し、阪神競馬場には昼ごろに到着、スタッフからは途中さほど渋滞に巻き込まれることもなく、スムーズだったとの報告でした。僕自身は土曜日の中山競馬が終わってから向かいました。
スタートは少しゆっくり出たように見えました。いいスタートを決めた1番人気馬が飛ばしていきましたが、プリムツァールはどんな展開であっても順応できるので、ペースに戸惑うようなことはなかったと思います。外枠(17番)だったので、津村明秀騎手は無理に内に入れずじっくりかまえたようです。4コーナーでは後方の位置でしたが、直線では本当によく伸びてきてくれました。馬場は稍重でしたが、それほど影響はなかったのではないでしょうか。