ヤッケ姿の草野とおる。痩せた印象だ
親子で雑誌の取材を受けたことも(事務所提供)
別居後の2022年、山田はシングルマザーやその家庭を支援することを目的に、新会社を設立。現在はシングルマザーの雇用支援につながるような活動や、親子での留学体験を支援する事業などに力を入れている。
「私たちもこの先、離婚するか考えることがあります。ですが今の日本の法律だと、両親双方が親権を持てる『共同親権』がないんですよ。そう考えると、紙切れ一枚の『結婚』『離婚』という形に縛られない関係でいるのがいいのかなと。
それでも、いざ自分ごとになると、日本の親権に関する法整備はとても遅れているなと思いました。私は会社を経営して収入があるから、『離婚せずに別居』という選択ができたけど、私の母のように、DVなどに悩んでも別居できない、離婚したくてもできない、そんな現場に希望を見いだせないシングルマザーがたくさんいるんです。
たとえば彼女たちが簡単に別れられない理由って、やっぱり経済的問題が根底にあることが多いように思うんですよ。特にシングルマザーをめぐる貧困問題は深刻で、こうやって私が発信することで、社会がこの問題をより真剣に考えるようになること、そして1人でも多く前向きな決断ができる人が増えることを望んでいます」
人生の新たな一歩を踏み出した山田。一方、夫の草野は、神奈川県相模原市の一軒家に身を寄せていた——第3回記事では、草野が「別居の理由」と、手に入れた「新しい生活」について語る。
(第3回につづく)