「何らかのかたちで世に出したいという思いはみなさんお持ちなんですよ。なぜかというと、他の方のことが知りたいから。自分たちの問題を、相対化したいという気持ちがあるようです。
加害者家族のときも同じで、当事者が顔を出して声を上げることは非常にしづらいんですけど、加害者家族についての本がいろいろ出る中で、『私も、私も』というある種の『#MeToo』運動が広がっていきました」
近親者との性交で子どもを出産した人のケースも、本には複数、書かれている。
「それまでは社会への関心なんてなかったけど、子どもが生まれたことで、我が子にとって少しでも暮らしやすい世の中になってほしい、それが親としての責任なんじゃないかと言ってくださった方もいます。自分たちがしたことが社会的にどう評価されるのかという覚悟を持って協力してくださっています」
もともと阿部さんの本を読み、支援活動のことを知って連絡をくれる人がほとんどだが、一対一の面談でこうした話をするわけではなく、裁判を傍聴した帰りに立ち寄った喫茶店で雑談しているときなどに、ぽろっと出てくることが多いそうだ。
「事件につながるトラブルがそこから発生していることも非常に多いです。ずっとひとりで悩んでいて、人に話したら楽になった、という人もいます。10年を超す長いつきあいの中で、突然、聞かされることも。支援活動をしていると、本当にいろんな話を聞くので、今はどんな話を聞かされても驚くということがありません。たぶん私は驚かないと思うから、みなさん話してくれるところもあるんじゃないでしょうか」