長嶋さんと亜希子夫人とともに、男子ゴルフのジャンボ尾崎さん(78才)の100勝記念パーティーに出席。右は三奈さん(1997年1月)
2007年、長嶋さんの妻・亜希子さんが亡くなられてからは、長嶋さんの個人事務所『オフィスエヌ』の代表取締役も務めていた三奈さん。長嶋さんが脳梗塞で倒れたのは2004年でしたから、21年にもわたって、いちばん近くで父上を支えてこられたというわけです。
一口に「父と娘」と言っても、その関係はさまざまだと思いますが、スポーツキャスターとして長嶋さんのチームメートや愛弟子の皆さんに取材をしていくなかで、改めて“父”を知ったであろう三奈さん。これは選手として長嶋さんの近くにいらした一茂さんとはまた異なる感情だと思われます。
長嶋さんが旅立たれた6月3日、午前6時39分というのが背番号「3」や3の倍数にちなんでいたこと、享年89を「やきゅう」と呼んだかたもいらっしゃいます。が、私はこの日が三奈さんのお誕生日だったことにもっとも胸を打たれました。“愛された娘”という何よりの証拠ですよね。
喪主を気丈に務められた三奈さんのコメントからは、長嶋さんの娘である矜持とその天真爛漫さがうかがえました。21年間の苦しい治療中も決して諦めず、看護師さんらが驚かれたという長嶋さんの最期。さらには、かつて長嶋家に練習にいらしていたという松井秀喜さん(51才)に米ニューヨークでの素振りを促し、読売新聞グループ本社代表取締役社長の山口寿一さん(68才)をはじめ社員の皆さんや巨人軍の皆さんへ「心より、心より、感謝申し上げます」と述べたのです。
その松井さんや王貞治さん(85才)のユーモアを交えた弔辞の途中に聞こえた女性の笑い声は、三奈さんのものだったと思われます。本当にご立派でした。
落ち着かれたらぜひ、“娘”としてお話をまた、たくさん聞かせていただければと思います。
改めまして、長嶋茂雄さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。そして三奈さん、どうか、お疲れが出ませんように……。
構成/山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ+』(メ~テレ)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。
※女性セブン2025年6月26日号