絶対に負けられないシーズンのはずが…(阿部慎之助監督)
オールスター前の時点で首位・阪神とゲーム差10の3位で、自力Vが消滅した巨人。あまりに早い自力V消滅により、不吉な先例から阿部慎之助監督の“辞任カウントダウン”まで囁かれる状況だ。スポーツ紙デスクが言う。
「原辰徳監督時代の2003年は6月に自力Vが消滅し、3年契約の2年目だった原監督がシーズン終了後に辞任。堀内恒夫氏が後任の監督となり、当時の渡辺恒雄オーナーは『解任ではなく読売グループの人事異動』と表現した。2022年も第3次原政権で6月に自力Vが消滅し、シーズンは4位に。この時は新たな3年契約の1年目だったため続投となったが、翌2023年も4位となり、3年契約を1年残して辞任している」
その後を継いだ阿部監督は今季がまさに3契約の2年目。6月には長嶋茂雄氏の訃報もあり“絶対に負けられないシーズン”となっていた。
「そこで阪神に独走を許す歴史的大敗となれば、責任論が浮上するのは必至。しかも、長嶋氏の弔問に訪れた松井秀喜氏が“ミスターとの約束がある”と監督への意欲とも取れる言葉を口にした。『松井監督』誕生を望むファンは多いです」(巨人担当記者)
逆境に陥る阿部監督だが、10ゲーム以上差をつけられたところからの逆転優勝は過去に8回ある。巨人は長嶋監督が名付けた1996年の「メークドラマ」と原監督時代の2008年の「メークレジェンド」の2例。
1996年のメークドラマは、首位・広島に最大11.5ゲーム差をつけられたが7月から巨人が猛追。広島が失速したこともあり、8月20日に単独首位に立つと逃げ切った。2008年のメークレジェンドは、首位・阪神と最大13ゲーム差をつけられて7月に阪神のマジックが点灯したが、北京五輪の中断を境に阪神が失速。10月に巨人が単独首位に立ち、セ・リーグ史上最大の13ゲーム差からの逆転優勝を果たした。
「令和版・メークドラマ」は起きるのか
「令和版・メークドラマ」は起きるのだろうか。巨人OBで元投手コーチの関本四十四氏はこう言う。
「過去には逆転劇があったが、首位を走る阪神との戦力差を考えると、今年はそういうことが起こらないでしょう。1996年のメークドラマの時は、ゲンちゃん(河野博文)や川口和久らがパーフェクトに近いリリーフの役割を果たした。松井(秀喜)や落合(博満)などの打線のつながりもあった。今年のジャイアンツの得点能力では阪神との差を縮めるのは大変だと思う。
ジャイアンツは主砲の岡本(和真)が離脱したからしょうがないという話で終わらせず、もっと打線に刺激を与えるべきなんですね。打撃コーチの入れ替えも視野にいれてもいいと思う。V9時代にも1軍と2軍の打撃や投手コーチを入れ替えていましたから。コーチによって気づくことも違うし、言葉も違う。