組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
元横綱の白鵬翔氏(40)が退職し、相撲協会は八角理事長(元横綱・北勝海、62)の「一強体制」になったと見られてきた。ところが、自身を脅かす存在を“排除”した後には、組織が割れかねない“内紛”の火種があった。
相撲協会を退職した白鵬氏は6月14日にアマ相撲発展に取り組む新会社「白鵬ダヤン相撲&スポーツ」の設立を発表した。
「『世界相撲グランドスラム構想』を進めるというが、容易ではない。ビジネス化には、相撲を総合格闘技としたり、プロレスのようにショー化するといったやり方になる。協会が手を組める話ではなく、先行きは厳しいのでは」(相撲ジャーナリスト)
現役時代の成績や資金力で大きな存在感を見せた白鵬氏を退職へ追いやり、八角理事長が協会内を掌握したかに見える。
「協会の理事長は2年に一度の理事選の後、理事10人の互選で決まります。来年1月場所後に次の理事選があり、八角理事長は6期目に意欲的だとされています」(担当記者)
協会の理事は出羽海、二所ノ関、時津風、高砂、伊勢ヶ濱という5つの一門がポストを分け合う。八角理事長が属する高砂一門は理事ポストが1つの“弱小派閥”だが、最大派閥・出羽海一門の支持を取り付けるなどして体制を維持してきた。
「懸案があるとすれば、現理事の多くが定年間近なこと。出羽海一門の理事では、八角理事長より年上の春日野親方(元関脇・栃乃和歌、63)と境川親方(元小結・両国、62)が次の任期中に65歳定年を迎えるため退任予定。他にも複数の理事が年齢のため退任となる。同じように支持を受けられるかが注目されています」(前出・担当記者)
そうしたなか、体制を盤石にすべく「定年延長」が浮上しているという。
「協会の定年を現在の65歳から70歳へ、再雇用も70歳から75歳までへと延長する動きがあるのです。9月場所後の理事会で決定し、来年1月場所後の理事選で現執行部が再出馬する狙いなのでしょう。本来はあと1期のはずの八角理事長がさらに2~3期、理事長をやる意思表示とされます」(前出・相撲ジャーナリスト)
八角体制下では2018年に反執行部の貴乃花親方が退職に追い込まれ、協会内で野心を隠さなかった白鵬氏も組織を去った。
「執行部に表立って反目する存在が消え、八角理事長や春日野親方がやりたい放題のような状況。ただ、今回の白鵬の退職には若手を中心に協会の対応のまずさを指摘する親方も少なくない。八角理事長にカリスマ性はなく、権力基盤も強くない。協会内では不穏な動きが見られます」(同前)