日々多様な事件が起きている、欲望渦巻く新宿・歌舞伎町(時事通信フォト)
個人情報を取られた上で、ようやくホテルから出ることを許された
警察の登場でパニック状態になった依頼者が「わかりました、わかりました、50万円払います」と口走った時、ユウもマネジャーも警官の前で、露骨に不満げな様子を見せていたという。
「50万円は店に対する罰金で、キャスト個人の休業補償や性感染症の検査費用などは別だ、と。しかも、警官もその場にいて、正直、ハメられてるのかなって」
そのまま約3時間、責められ続けた依頼者だったが、「50万円以上払う」とは口にせず、個人情報を取られた上で、ようやくホテルから出ることを許された。
「次の日に、マネジャーから電話がかかってきて、『沖縄県警が被害届を受理し、捜査が始まる』と。それから、抵抗した際に、彼女が手首を捻挫した。全治2週間の診断書も出ているなんて言われたのですが、私は彼女の手首や腕を押さえつけたり、むりやり何かをしたなんて、絶対にありません」
今後の見通しや方針の選択肢・リスクなども丁寧に説明をしたが、依頼者は「やってもいないことは絶対に認めたくありません」と。その言葉を受けて、私は言った。
「では戦いましょう」
「正直、美人局を疑っています」
私は沖縄県警に電話を入れ、担当の捜査官を出してもらった。受話器を取ったのは、やはり水田刑事である。
「被害を訴えている女性は、ひょっとしてユウさんじゃないですか?」
「言えませんね。個人情報ですから」
だが、今回は引き下がらない。相手がユウであることはわかっているし、依頼者は戦いを決意したのだ。
「これまでもね、何度かお電話で話しているのでご存じと思いますが、ユウさん、ちょっとやりすぎ。私の依頼者は、ユウさんと店から『脅迫された』と怯えています」
「本番はしていないと主張するんですか?」
つかみどころのないヌルヌルとした態度は、いつも通りだ。
「本番行為については否定していません。でも、双方の同意の上ですよ。問題は、暴行・脅迫でしょう」
「怪我したって、診断書も出ているよ」
「それも争います」
「じゃあ、任意聴取には応じるわけね」
「どうでしょう。応じるかどうかを決めるのは、依頼者なので。いずれにしても、丁寧な捜査をお願いします。正直、美人局を疑っています。ユウさんと店が過去にどれだけの数の被害届を出して、示談金を得たのか、ぜひ調べてみてください」