生き方を説教した上で金を取り上げた
この時点以降に起きたことは、基本的に違法行為である。それでも、小栗さんはガールズバーに通い続けていた。美咲と示し合わせた平山が、3回に1度のペースでしか自分は店に姿を現さず、小栗さんの足が店から遠のかないよう調整していたからだ。
美咲や平山と知り合って2年目には、状況はさらに悪化した。平山が来ない日には、美咲が睡眠薬を入れたカクテルを飲ませ、小栗さんが意識を失っている間に財布から金を抜き取るようになったのだ。
薬で眠らされ、財布から金を抜き取られていることに気づいていない様子の小栗さんを見て、平山は「調教」を思いついた。暗算ゲームのような建前すらやめて、ことあるごとに小栗さんの腹を殴り、生き方を説教した上で金を取り上げたのだ。
こうした変化は、美咲が小栗さんから「母親が病死し、認知症が悪化した父親が介護付き施設に入った」と、聞いた時期と重なっている。つまり、小栗さんが家業の法人の代表者になったタイミングだった。
(第2回に続く)