参院選候補の演説会で自民党の鶴保庸介参議院議員は失言した。7月8日、和歌山市(時事通信フォト)
松岡さんが質問する記者の方を向き、顔を上げ、しっかりとした声で説明していたのに対し、鶴保議員は会見始めや途中で背もたれにもたれたり、きっちりと謝罪しなければならない場面で声のトーンを落とし俯いていた。責任について記者から問われると、「私が責任をとることで、何かみなさんの気持ちがおさまるなら、どういう形であっても、私はそれはやぶさかではありません。どんなことでもさせていただくつもりはあります」とその声はどんどん小さくなり、のっぺりした表情を見せた。。
発言を撤回し陳謝したのは、“足りなかったと言われれば”、であり、会見を開いたのも“みなさんの気持ちがおさまるなら”。謝罪する気持ちがあるなら、「配慮が足りなかった」というべきだ。TOKIOの解散などについて、しっかりと自分の口からお話しようと前を向き、淀みのない声で語った松岡さんとは違い、心の底から謝罪しなければならないような、ひどいことを言ったとは思っていないようだ。
“どんなことでもさせていただく”といいながら、責任の取り方について「一番重いもので議員辞職」と問われると、視線を下げたまま不快感を露わに眉毛を上げた。「離党する方もいるが」と言われ、何度か小刻みに頷き頭をゆらゆらと揺らしたところをみると、人は人、自分は自分と思っているようだ。俯いたまま首を大きく横にふると「まあそこまでは考えていません」と否定し、歯を見せて薄ら笑いを見せた。彼の発言は口先だけと露呈、反感の声が強まるのも無理はない。
会見などでは、前後の文脈を無視したような形で発言が切り取られ、批判が集中、炎上することがある。鶴保議員の会見は最初から最後までどこを切り取っても、その姿勢や座り方、表情や話し方、視線の向きなどから口先だけの謝罪に終始し、まるで心がこもっていないことが見て取れる。
自民党の森山裕幹事長は、発言について「厳重注意」し、参院選への影響について「影響があるかないはわからないが、決してプラスにはならない発言」と述べた。ネット上の反応をみれば、楽観的な見方だろう。今度の選挙、自民党の在り方と所属議員の質が問われることになる。
帽子をとって頭を下げる松岡昌宏(写真/共同通信社)