横澤夏子公式インスタグラムより
3人目にして開き直りの境地に
3人目が一番、妊娠中のメンタルが整っていたと思います。つわりのときは次女の離乳食作りが辛くなるだろうからベビーフードに頼ろう、とか、あらかじめトラブルを予想して効率よく動けるように。
〈妊娠+2人の子の世話〉が完全にキャパオーバーだからこそ、細かいことは気にならなくなり、3人目にして初めて、新生児期から「かわいい!」と思えました。
私も夫も3人兄弟だったので、「子どもは3人いたらいいね」と話していました。病室で三女を抱っこしながら、夫に連れられて上の子2人がやってきたとき、夢の5人家族になれたんだ!と思ったのもつかの間、ちょろちょろと動き回る子どもたちに本当に目が回って……。夫を見ると、夫の目も回っていました。これがずっと続くの?と呆然となりながら、どこか面白がっている自分もいました。
よく「3人もお子さんがいて大変でしょう」と言われるのですが、たしかに手も目も全然足りない状況だけど、1人目より2人目、2人目より3人目と、どんどん気持ちは楽になっていきました。以前は、心配性で完璧主義で、それを人にも求めるところがあった私が、「あ、こりゃ無理だわ」と悟って人に頼れるようになったり、完璧じゃなくても自分も人も許せるようになったり。3人の子どもたちのおかげで鎧を脱げたと感じています。
保育園に預けることに罪悪感があったけど
仕事復帰して、子どもをベビーシッターさんや保育園に預けることになったとき、最初は罪悪感でいっぱいでした。自分が仕事したいだけで、この子にはなんのメリットもないんじゃない?って。楽屋でベビーモニターに映る泣いてる子どもを見ては「あのおもちゃ出しといてあげればよかった」と私も泣いていました。
でもそんなとき、Eテレの「すくすく子育て」でご一緒した汐見稔幸先生が「保育園や幼稚園には、親以外の大人からかわいがってもらう練習をしに行ってるんですよ」とお話ししてくださったんです。一気に肩の荷が下りて、たしかにそういう力こそ必要だなと思いました。思えば私自身も、保育園やベビーシッターさんにお願いするようになって、人に甘えられる力を育ててもらった気がします。
その後は、楽屋でベビーモニターをチェックするのはやめて、お互いここが頑張り時だね!と仕事に集中できるようになりました。
昔、「子どもにシールを貼られてそのまま仕事に来ちゃったお母さん」というネタで、「やだ! ここにもー?」とテンション高めにやっていたのですが、実際に母になってみたら、服に貼ってあるシールを見つけても黙って取って捨てていました。そのリアルを知ることができて嬉しくて。逆に母になったからこそ生まれた「夫に釘を刺しまくる助産師さん」「必ず同じことを3回言う予防接種の看護師さん」なんてネタも。母になって出会う女性が増えました。
(第3回に続く)
“4人乗り”のベビーカーに子供たちを乗せて押す横澤夏子(横澤夏子公式インスタグラムより)