2位と大差のCSは危ない!?
つまり、どのようにして日本シリーズに辿り着くかが極めて重要であり、その意味では今季の“歴史的独走”は不安要素にもなり得るという。
前出・江本氏は「リーグ優勝の確率は10割に近いし、仮に日本シリーズまでいければ日本一の可能性は9割」という言い方をするが、そこには死角もあると指摘する。
「なぜリーグ優勝が10割近いと言えるかというと、ある程度早い段階から独走態勢になることで他のチームがCSに進出できる2位、3位狙いに切り替えるからです。主戦級の表のローテーション投手を阪神以外のチームにぶつけるようになる。結果、阪神と2位以下の差は自然と開いていくが、そうするとその先のCSが落とし穴になるのです」
CSではそれまでの対戦が少なくなった他チームの主戦投手たちといきなりぶつかるかたちとなり、本拠地開催と1勝のアドバンテージがあっても、「勝って日本シリーズに進出できる可能性は高く見積もっても6割程度でしょう」と江本氏は分析する。
昨年も貯金18の巨人が貯金わずか2のDeNAに下剋上を許している。前出・広澤氏が言う。
「今のセにかつての長嶋巨人の“メークドラマ”のような逆転劇を起こせそうなチームは見当たらない。それが逆に阪神の選手たちにとって不安要素になる懸念がある。2位に大差をつけて優勝するチームは、CSで敗退して日本シリーズに進めない可能性があること自体が重圧になる。2位と差が開けば開くほど、不安や恐怖と戦わなくてはならなくなります」
それに打ち克って初めて頂点が見えてくるのだ。
※週刊ポスト2025年8月1日号