ライフ

『ドラゴン桜』作者・三田紀房氏が要因を分析したヒットを生む“バスの行き先理論”「本気で読者に向き合っていなかった」

東京大学(赤門)

東京大学(赤門)

「教えてやる! 東大は簡単だ!」──この印象的なフレーズを覚えている人も多いだろう。三田紀房氏の最大のヒット作『ドラゴン桜』に登場する名セリフの一つだ。『ドラゴン桜』は、落ちこぼれの生徒を1年で東大に合格させる勉強法や受験テクニックなどが紹介され大きな話題を呼び、今なお受験生に影響を及ぼし続けている。

 いかにして、“東大は簡単”というコンセプトが生まれたのか。そして、意外にも連載当初は読者の反応がイマイチだったというが、どのようにヒットに結び付けたのか。

 三田氏の著書『ボクは漫画家もどき イケてない男の人生大逆転劇』(講談社)。同書から、三田氏の成功法則「バスの行き先理論」についてお届けする。(同書より一部抜粋して再構成)【全4回の第4回。第1回を読む】

 * * *
「新入社員の佐渡島です」

 眼鏡をかけた若い編集者が名刺を差し出しました。

 次回作からは、僕の担当はこの佐渡島さんに代わり、山中さんはサポートする立場になるとのことでした。

 山中さんから「次回作はぜひ第二次世界大戦を舞台にした物語を考えませんか」と提案されました。

 そこで、「第二次世界大戦で日本がどれだけの国家予算を失ったのかを研究している学者の話はどうですか」とプレゼンすると、「いいですね。ぜひ進めましょう」と山中さんは大乗り気でした。

 ところが、この企画は編集部の都合で頓挫してしまいます。

「またしても、『モーニング』で企画がボツか、縁がないのかなあ」とあきらめの気分でいたところ、再び山中さんがやってきて、

「編集長の木原が、三田さんがやってくれるなら連載を始めるためにページを抑えると言っているんですよ」

 と、突然、連載の話が降って湧きました。

 そこで、「どんなテーマでやりたいんですか」と聞くと、「そうですね。学園教師ものなんかどうでしょう」と即、返事が返ってきます。

 この言葉を聞いて、僕は「またか……」と思いました。

 その前年末に、ある雑誌の編集長が訪ねて来て、「学園教師ものをやりませんか」と言われたのです。

 その方の要望は、好きなテレビドラマの教師をモデルに描いてほしいとのことでした。話をいただいたことは僕もうれしかったのですが、僕としては学園ものがうまくいくイメージがありませんでした。

 学園ものというと、生徒を導くとか、不良の少年を更生させるなど、どうも教師が偉そうな感じがするのが好きではなかったんです。しかも、教師というのは教室の中という狭い世界で生きているイメージがあって、話に広がりを作りにくいと思っていました。

関連記事

トピックス

夜逃げした「郷土料理 たち川」に、食品偽装があったという(左はinstagramより、右は従業員提供)
「飛騨牛はホルスタイン、天然鮎は養殖モノ…」岐阜・池田温泉、町が委託したレストランで“食品偽装疑惑”「仕入れ先が減り、オーナー自らスーパーで割引の商品を…」【7月末に夜逃げしていた】
NEWSポストセブン
痩せる前のエヴィヤタルさん(インスタグラムより)
「弟はもはやガイコツ」「この穴は僕が埋葬される場所だろう」…ハマスが“人質が自分の墓を掘る”動画を公開し世界各国から非難噴出《飲まず食わずで深刻な飢餓状態》
NEWSポストセブン
本州に生息するツキノワグマ。体長120~180センチほど。最近では獣害の被害が増えている(イメージ)
《襲われる被害が多発》クマに悩まされる養蜂家たちが告白 「今年はあきらめるしかない…」「槍を作って山に入るヤツもいる」
NEWSポストセブン
デコラファッションで小学校に登校していたいちかさん、中学生となり衝撃の変貌を遂げていた…!
《デコラ小学生が衝撃の変貌》グリーン&ゴールド髪が“黒髪少女”に大転身「ほぼスッピンのナチュラルメイクで中学に登校する」意外な理由とは
NEWSポストセブン
昨年に第一子が誕生したお笑いコンビ「ティモンディ」の高岸宏行、妻・沢井美優(右・Xより)
《渋谷で目立ちすぎ…!》オレンジ色のサングラスをかけて…ティモンディ・高岸、“家族サービス”でも全身オレンジの幸せオーラ
NEWSポストセブン
“原宿系デコラファッション”に身を包むのは小学6年生の“いちか”さん(12)
《話題のド派手小学生“その後”》衝撃の「デコラ卒アル写真」と、カラフル卒業式を警戒する学校の先生と繰り広げた攻防戦【『家、ついて行ってイイですか?』で注目】
NEWSポストセブン
収監の後は、強制送還される可能性もある水原一平受刑者(写真/AFLO)
《大谷翔平のキャスティングはどうなるのか?》水原一平元通訳のスキャンダルが現地でドラマ化に向けて前進 制作陣の顔ぶれから伝わる“本気度” 
女性セブン
「池田温泉」は旅館事業者の“夜逃げ”をどう捉えるのか(左は池田温泉HPより、右は夜逃げするオーナー・A氏)
「支払われないまま夜逃げされた」突如閉鎖した岐阜・池田温泉旅館、仕入れ先の生産者が嘆きの声…従業員が告発する実情「机上に請求書の山が…」
NEWSポストセブン
バラエティ、モデル、女優と活躍の幅を広げる森香澄(写真/AFLO)
《東京駅23時のほろ酔いキャミ姿で肩を…》森香澄、“若手イケメン俳優”を前につい漏らした現在の恋愛事情
NEWSポストセブン
柳沢きみお氏の闘病経験は『大市民 がん闘病記』にも色濃く反映されている
【独占告白】人気漫画家・柳沢きみお氏が語る“がん闘病” 今なお連載3本を抱え月産160ページを描く76歳が明かした「人生で一番楽しい時間」
週刊ポスト
芸能界の“三刀流”豊田ルナ
芸能界の“三刀流”豊田ルナ グラビア撮影後に語った思い「私の人生は母に助けられている」
NEWSポストセブン
ラーメン二郎・全45店舗を3周達成した新チトセさん
「友達はもう一緒に並んでくれない…」ラーメン二郎の日本全国45店舗を“3周”した新チトセ氏、批判殺到した“食事は20分以内”張り紙に持論
NEWSポストセブン