和田政宗氏(時事通信フォト)
本当は自民党保守派が“本家”なのに、それが有権者に伝わらなかったという思いを滲ませるのは、落選した若手保守派も同様だった。在日クルド人問題で「日本にいるクルド人の大多数は偽装難民で送還は当然」と警鐘を鳴らすなどしてきた和田政宗氏が言う。
「国家は国民のためにある。自民党はこれまで当たり前に『日本人ファースト』をやってきた。それなのに、参院選でその言葉が参政党の政治スローガンとして顕在化した」と語り、その背景にはSNSなどで拡散された誤情報があると続けた。
「『外国人の起訴率は低い』とか『留学で優遇されている』とか。私は国会で質したが、実際は外国人のほうが起訴率は高い。留学条件も各国相互関係にあり、日本人が同じ枠組みで留学する場合は同じように優遇される。
もちろん、外国人に対する不当な優遇があればわれわれは手を打ってきた。それなのに、ネットには外国人排斥論をビジネスにしている人がいる。『自民党は移民を受け入れる』『外国人を優遇』と誤情報が流され、本当なのかを確認せずに“それはマズいじゃん”と考える人が増えてしまった」
トランプ氏の登場、石破氏の責任、デマに基づく有権者の誤解……落選した自民保守派からは様々な敗因が語られた。
たしかにネットでは真偽不明な情報や差別的な言説が飛び交うが、そうしたなかで支持を集めるために自民党保守派もより過激な路線に傾いてはいなかったか。新興政党に票を奪われてから批判に転じても、失われた党勢は取り戻せないはずだ。
※週刊ポスト2025年8月8日号