ハリー役を務める稲垣吾郎(中央)、平岡祐太(右)、大貫勇輔(左)(公式HPより)
SMAPの話も涼しい顔で
メディアが“SMAPのス”を出すことも遠慮していたような頃に、同番組を中心に「SMAP」の話を頻繁にしていたのも稲垣。
このことについても本人に聞いたことがあるのだが、「だって、楽曲提供をしてもらったミュージシャンの方がゲストに来ることもあれば、かつての先輩や後輩が来ることもあるんですから、関連した話題を出さない方が不自然ですよね?」と稲垣は涼しい顔だった。
7月10日には、『櫻井・有吉のTHE夜会』(TBS系)で嵐の櫻井翔と対談をしたことも話題になった。会場となったのは稲垣がプロデュースする『ビストロJ_O』。稲垣が櫻井のためにワインをセレクトしたり、料理をサーヴィスしたりしながら“昔話”に花を咲かせたのである。
かつてSMAPと嵐は、同じ事務所でも「別会社」と揶揄されるほど関わりが少なかったのだが、二人に壁があるようには感じられず、櫻井にとって稲垣やSMAPは偉大な先輩であり、稲垣にとって櫻井や嵐は後輩でありながらも尊敬すべき存在なのだということもわかった。
『ハリー・ポッター』と“ぼくほし”出演で今夏は大忙しの稲垣だが、2020年から2024年までにNHK総合やNHK BSプレミアムのドラマに4本も出演しているのである。なかでも昨年放送され、多くの賞に輝いたドラマ10『燕はもどってこない』での稲垣の役は、「吾郎ちゃんにしかやれない」と大評判だった。
NHKと言えば、Eテレの福祉番組『toi-toi』でのナレーションも務めており、『ハリー・ポッター~』のPRを兼ねて出演した番組などで、「みんな、僕のこと忘れちゃったんですか?」と自虐的なコメントをした稲垣だが、実は幅広い活動をしており、都度、高い評価を受け続けていたのである。
その中の一つが、ベートーヴェンが稲垣に憑依していると評判で、実に4度も上演された主演舞台『No.9‐不滅の旋律‐』だ。『ハリー・ポッター~』はまだ観に行けていないのだが、PRスポットで目にする初日公演のカーテンコールと、舞台中央で多くのキャストを労うように微笑む稲垣の姿を見るにつけ、あぁ、この人は本当に舞台が好きなんだなぁと思うと同時に、“舞台人”としての稲垣の実績や誇りを感じ、3カ月というこれまで経験したことのない『ハリー・ポッター~』のロングラン公演も必ずや成功させるのだろうと確信した。
猛暑を乗り切る方法は?
とは言え、記録的な猛暑が続いている今夏。稲垣出演の初日の前日に行われた囲み取材で、「千秋楽まで元気に乗り切るための対処法」について稲垣に質問してみた。
「既に暑い日が続いていて劇場に来て下さるお客様のそこまでの道のりが心配になっちゃいますけれど、劇場は過ごしやすい空間ですから」「3カ月以上、一つの作品をやるというのは初めてのことなので自分がどういう状態になるのか想像もつかないですけれど、先輩ハリーもたくさんいるので色々なお話をうかがいながらやれるのが楽しみです」と言い、
続いて、「僕は普段比較的、静かに暮らしているタイプで、3匹の猫に囲まれて生活している人間なので、この舞台に来たときぐらいは皆さんと心を通わせてきながら楽しくやっていく、笑顔でいるってことが夏を乗り切る方法ですね。おじいちゃんみたいな生活なんです。早寝早起きで今日も5時ぐらいに起きてるし…。あとは食事に気を付けて、適度な運動しながら体力づくりはしていきたいと思います」とコメントした。
以前のインタビューでは、毎朝の散歩を欠かさず、室内外に60鉢はあるという植物の水やりも日課で、スムージーの大流行よりずっと前から低速ミキサーで搾った野菜や果物のジュースを飲むのが「太らない秘訣」とも話していた稲垣。ワイン好きで知られ、美食家である一方、節制もしているということだ。
ルックスやスタイルが20代の頃と変わらないのにはこうしたルーティンがあるし、大好きな舞台で多くのキャストやスタッフに囲まれながら過ごす稲垣は夏バテ知らず……。
“変わらない吾郎ちゃん”と、舞台でさらに“進化する稲垣吾郎”を多くのファンが堪能する今夏となりそうだ。
◆山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ+』(メ~テレ)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。