西武時代の江夏豊氏

西武時代の江夏豊氏

工藤:昔は肩が壊れたらなかなか復帰できなかった。だから昔の人たちの投げ方って流れるようでバランスが良くて、無駄なく力が抜けたいいフォームなんですよね。

江夏:壊れたらそのまま終わりやったからね。絶えず自分と格闘していたよ。丈夫のまま終わりたいと思っていた。ボールをカットしたり、抜いたりは自分で覚えたからね。やられそうだったらパーッと抜いて投げていた。

工藤:打たれるなと思って変えるんですか?

江夏:あかんって思った場合に変える。真っ直ぐとカーブの握りは一緒だから、タイミングが合ってそうだなと思ったらピュッとカーブを投げる。

工藤:どこを見ているんですか? 

江夏:バッター、キャッチャーミット、相手のベンチの動きも見てる。

工藤:投げながら、ということですよね?

江夏:そうよ。

工藤:凄すぎますね! それが「江夏の21球」につながるんですね。僕も1999年の1年間だけ調子がよくて、すべてがスローモーションに見えた。ネクストバッターの動きまで捉えられたけど、次の年は見えませんでしたね。

江夏:極限までの集中力なんやろうな。

第3回につづく

取材・文/松永多佳倫(ノンフィクション作家)

【プロフィール】
江夏豊(えなつ・ゆたか)/1948年、兵庫県生まれ。1967年に阪神タイガース入団後、南海、広島、日本ハム、西武と渡り歩く。1984年に引退。シーズン401奪三振、最優秀救援投手5回は現在も日本記録。オールスターでの9連続奪三振、日本シリーズでの「江夏の21球」など様々な伝説を持つ。

工藤公康(くどう・きみやす)/1963年、愛知県生まれ。1982年に西武ライオンズに入団。ダイエー、巨人、横浜などに在籍し、14度のリーグ優勝、11度の日本一に輝く。2011年に引退。2015年、ソフトバンク監督に就任。7年間に日本シリーズを5度制覇。2016年に野球殿堂入り。

松永多佳倫(まつなが・たかりん)/ノンフィクション作家。1968年、岐阜県生まれ。琉球大卒業後、出版社勤務を経て執筆活動開始。『92歳、広岡達朗の正体』(扶桑社)など著書多数。

※週刊ポスト2025年8月8日号

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