直営店閉鎖は2008年に中国で小売店をオープンして以降初めて
米アップルが8月9日に中国東北部の直営店を閉鎖することが分かった。中国の直営店が閉鎖されるのは、アップルが2008年に中国で小売店をオープンして以降初めて。この動きは、中国経済が個人消費の停滞と過当競争という深刻な課題に直面している現状を象徴している。特に東北部の景気が低迷しており、遼寧省大連市ではアルマーニやマイケル・コースなどの外資系のファッションブランドが撤退している。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じた。
閉鎖されるのは大連市中山区のパークランドモール内にある店舗で、2025年8月9日に営業を終了するという。
アップル側は閉鎖の理由として、「モール環境の変化」と「他小売業者の撤退」を挙げている。大連市には2店舗があり、もう一方の店舗は営業を継続する。
アップルの大連店の閉鎖は、中国市場で売上が6四半期連続で減少しているなどの事業の停滞を反映している。中国大陸と台湾、香港、マカオを合わせた「大中華圏」で、昨年のアップルの売り上げは、ピーク時から約10%減少している。
この背景には中国のファーウェイやシャオミ、ビボなどの競合他社が世界最大の中国のスマートフォン市場におけるアップルのシェアを浸食し続けていることがあげられる。テクノロジー業界に特化した世界的な市場調査会社「カウンターポイントリサーチ」によると、昨年の中国におけるスマートフォン販売に占めるアップルのシェアは17.9%から15.5%に低下している。
アップルは一方で、深センや北京、上海などで新店舗のオープンを予定しており、巻き返しを図っている。