「生きよう」と思った理由とは…
──それでも、生きようと思った理由は何でしたか。
夢に日傘をさして浴衣を着たお袋が出てきて、すごい笑顔で俺のことを見つめてたんだよ。何も言葉はなかったんだけど、それを見た時に、俺はもうちょっと生きなきゃと思った。
──でもまた捕まってしまいました。
依存症っていうのはコントロールできなくなること。毎回思うんだよ、もうやめようって。なのにまた薬を使うということは、自分がコントロールを喪失しているってことなんだよね。
手を出さないように、努力はするんだよ。薬物をすすめてくるような人との付き合いを絶つとか、そういうものがやり取りされているような場所に近寄らないとか。
だけど、一度事件を起こすと、どうしても生きづらくなってくる。元の通りに行かないからね。そうすると、向こうから寄ってくるんだよ。「大変でしょ、いいのあるよ」なんつって。
(第2回に続く)
新刊『こころの処方箋』 著/田代まさし 翻訳・執筆/須々木ハジメ
amazonにて電子&紙書籍、販売開始
人生でくじけたとき、支えになったのは── 偉人や著名人の名言、そして人生の師や友人の一言でした。 どん底を味わった著者がそれらの言葉とどう出会い、どう希望を見いだしたのか。背景や体験を赤裸々に語っています。 成功論じゃない。自己啓発でもない。だからこそ、疲れた心にすっと沁みる一冊です。