「努力し続けるのが辛くなった」と話す田代氏
──ご自身に「才能」はないと思っていたんですか。
俺は、夜の仕事をしていた母の才能を受け継いだと思っているんだ。人を楽しませたいという気持ちがベースにあったのはラッキーだった。でも、売れるスピードが早かったから、あっという間に自分がすっからかんになった。
新たなものを吸収していかないと、何も出てこない。だから映画もすげえ見たし、いろんな本も読んだし、いろんな演芸も見た。それでも追いつかなくなってきて。
志村さんはものすごく勉強する人で、(学びと)並行して毎週新しいコントを作っていた。その姿を間近で見ていたからこそ、自分に対する絶望が頭をよぎるようになって……そういう意識が生まれた時が、薬に近づいた瞬間だった。
──志村さんから何か指摘されたことはなかった?
「お前はいつも100を出そうとしている。70の力でいいんだよ」って。「100を出そうとするから、周りが見えなくなる。70ぐらいの気持ちでやってると、周りがよく見えて、気がつくと100以上の力が出る時がある」というわけ。そう言っている志村さんは、俺から見ると100以上の力でやってるんだけどさ。いやいや、自分は100以上でやってるじゃないですかと思ったんだけどね。