田代まさし一覧

【田代まさし】に関するニュースを集めたページです。

クラブイベントには芸人、モデル、会社経営者などが集まっていた(イメージ)
「薬物依存なんて言い訳」暴力団幹部が語るその意味は?
 警察や軍関係の内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た警官の日常や刑事の捜査活動などにおける驚くべき真実を明かすシリーズ。今回はクスリの薬物依存について、暴力団幹部が自らの体験を語る。 * * *「薬物依存なんて、捕まったやつの体のいい言い訳にすぎない」 暴力団幹部はそう言い切った。 薬物依存は、芸能人や有名人が大麻や覚せい剤で逮捕される度に問題にされ、彼らが薬物と手を切ることができない理由と考えられている。元タレントの田代まさしは、薬物依存リハビリ施設のスタッフになっていたこともあるが、覚せい剤取締法違反で5回目の逮捕。逮捕時51歳だったピエール瀧は20代の頃からコカインや大麻を使用していたといい、沢尻エリカも10年以上前から違法薬物を使用していたと供述。釈放されるや都内の病院に直行し入院、違法薬物を断ち切る治療を受けるためと報じられた。「薬物依存? ふざけんじゃない!って話だよ」 暴力団幹部は憤慨する。「クスリは外を歩けばどこにでも売っているモンじゃない。食事に行けばメニューにズラリと載っている酒とは違う。薬物が手に入りやすい環境にあった、誘惑がたくさんあったんだろうとコメントするやつがいるが、あれはクスリをやったことがない人間の言うたわ言。欲しいやつらは、自分から誘惑されに行くんだよ」「タバコや酒じゃあるまいし、自販機やコンビニで売ってるわけじゃないんでね。自分から手に入れようと動かないかぎり、クスリは手に入らない。入手できるようなところに自分から行ってるんだ」 簡単に入手するのは難しいが、その気になればわりと簡単にたどりつくと暴力団幹部は言う。「沢尻のように、クラブに出入りしていれば誰かしらやっているだろうし、六本木辺りの外国人に声をかければ、必ずつながりができる。ネット販売している者もいるぐらいだから、普通の人が入手するのが難しい品物という認識はもう違う」「ヤクザにはヤクザが、素人には組織とつながりのある堅気の売人がいる」 芸能人、有名人であれば、交友関係も広く誘惑も多いと思うが…。「どこがそういう場所なのか、どんなやつが危ないか、クスリをやっているやつはわかっている。そういう場所に行かなければいいし、そういう相手に会わなければいい。わざわざ探してまで、やらなければいい。自分で手にさえしなければいいわけだ」「環境や友人の影響もあるのは確かだが、行かない、会わない、買わない、探さない。その場所、その人たちと縁を切るだけで、やめるのはそう難しいことではない。そんなこと言っていたら、俺たちヤクザはどうなる? みんな揃って薬物依存だ」 組の者はほとんど誰もが違法薬物の味を知っている。「ここにクスリがあって、組の者に『やれよ』と言っても誰もやらないよ。俺も2度とやらない。1度やったぐらいでおかしくならないことは知っているけどね」 彼自身、何年も薬物の使用を続けた過去があり、逮捕歴もある。「1度やったら2週間はひっかかる。2週間、びくびくして暮らすのなんてまっぴらだ」 違法薬物で捕まれば尿検査が待っている。使用した違法薬物にもよるが、尿鑑定で薬物反応が陽性と出るのは使用から約2週間。1度の使用で、その後の2週間を棒に振るのはごめんだという。「沢尻エリカが『私のところには警察は来ないだろうと思っていた』って言ってたけど、それわかる!って思ったね。俺も自分のところにだけはこないと思っていたし、やっているやつはみんなそう思っている」 だから逮捕されるまでやり続けることになる。「クスリをやるやつにとっては逮捕されるか逮捕されないか、それだけだ」 逮捕され、実刑を受ければ刑務所に収監される。「ムショの雑居房では、8人いるとそのうち6人はヤク中だ。そこで薬物の怖さをみんなで話す…なんてことはない。あれはよかった、これは効いた、濃い、薄い、安い、高いとそんな話しか、誰に売ってた、何年売ってたという自慢話だ。本当か嘘かわからないがね」 クスリの話をしていると、やりたい欲求が強くなるのではと思うが、実際は違うらしい。「ムショだと自由もなく、入手は不可能。仮にやりたいと思っても、絶対にできないことがわかっているから、あまり考えないようになる」 暴力団幹部は田代まさしを例に話す。「ムショにいる間、やめられるんだから依存なんかじゃない。彼は何度も務めているが、1度でも禁断症状で病院に運ばれたり、幻覚で精神がおかしくなったことがあるか聞いてみたいもんだ。拘禁生活中は朝起きて、作業して、飯食って寝るだけ。何らかの治療があるわけでもない。ただ、自由がないだけでね」「覚せい剤は身体が要求するものではなく気持ちの問題。社会に出て自由を手にした途端、気持ちが弱くなるんだろう。ムショでは普通に生活してたくせに、出てきた途端、毎日が薬物をやめるため自分との闘いだ、などとよく言えたもんだ」 気持ちの問題、まさにそこが依存の原因ではないかと思うが、薬物が入手しやすい環境にいる暴力団幹部はこう断言する。「やめようとすればやめられる。俺の周りはみんなやめたよ」 薬物依存症といえば治療が必要な病気というのが一般的な認識で、依存者がいるのも確かだ。だが暴力団幹部の話を聞いていると、違法薬物使用を繰り返す者、長期間使用し続ける者にとって、薬物依存というラベリングはクスリに手を出す時の都合のいい言い訳、免罪符でしかないのかもしれない。
2019.12.28 16:00
NEWSポストセブン
YouTubeでの清原和博氏は生き生きしていた(イラスト/ヨシムラヒロム)
清原和博氏をYouTubeで見てその雑談力の高さを再確認した話
 元プロ野球選手によるYouTubeチャンネル開設が相次いでいる。豪華ゲストがたびたび登場する高木豊、選手の人事情報を公式より先に知らせる仰天の情報力をみせる里崎智也など、野球やトレーニングから日常のライブ配信に重心が動きつつある新庄剛志など、多士済々だ。そんななか、片岡篤史チャンネルにゲストとして清原和博が3回にわたって登場した。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、元プロ野球選手によるエピソードトークがなぜネットでブームになっているのか、彼らの「雑談」はなぜ面白いのかについて考えた。 * * * 先日、「元楽天イーグルスの一場靖弘が自己破産」といった記事を読んだ。そこで一場がYouTuberに転身したことを知る。プロ野球選手の中でもエリートにあたるドラフト1位投手だったのに……、一場の人生は波乱万丈である。そして、開設したという「一場靖弘のBASEBALLチャンネル」の動画を観て、驚いた。死にたい気分なって仕方ない現状にも関わらず、意外なほどに明るい。まるで何もなかったように自らの球史を紐解いていく。そして一場自身、我が野球人生において注力して語るべきことがピッチングにあらず、と理解している。視聴者が求めているのはドラフト制度を変えた「一場事件」だと。 動画内で一場は「当たり前の感覚で栄養費という名の金銭を受け取ってしまった」と反省していた。これまた、意外なほどすんなりと球界の闇を暴露している。 現在、YouTube業界に元プロ野球選手が続々と参加している。高木豊が先頭を切り、里崎智也が続いた。この2人のチャンネルの傾向は似ている。順位予想、技術論の解説、ゲストとのトーク、業界の裏話など、あくまでもテレビでも扱える野球ネタを主題としている。しかし、YouTubeといったメディアに視聴者が求めるものはテレビでは流せない話だったりするわけで……。 高木豊が動画を初投稿したのが2018年4月、それから2年経たずして元プロ野球選手YouTuberは多様化し、一場のような暴露も辞さないキャラクターも登場した。誰もが送り手となれる時代の変化を感じる事象である。 記事を読む限り、一場は将来的に指導者となり甲子園を目指したいとのこと。ならば、無闇にYouTubeに手を染めない方が良い気もした(難しいメディアだし)。しかし、それでも一場がYouTuberになったのは自己表現の場を探し求めた結果だろう。選手はプレーすることで称賛を浴びる。しかし、引退すればただの人、自身を表現する方法を失う。現在、多くいる元プロ野球選手YouTuberは活躍するフィールドを球場から動画に移したとも読める。 少し前まで地上波でプロ野球を扱う番組は多く、オフシーズンにはプロ野球選手による歌番組まで存在した。全盛期に比べるとプロ野球の存在感が薄れゆくなか、自身の存在を忘れられないためにも自力で動画を配信する。今後、このような自己PRはプロスポーツ業界で当たり前となっていくはずだ。 コンテンツとして世間に知られていなかった秘密を意図して洩らす一場がいれば、意図せず話すこと全てが暴露となってしまう元プロもいる。その代表格はなんといっても、12月10日から連続して3回『片岡篤史チャンネル』にゲスト出演した清原和博だろう。動画では、テレビでは絶対に流せないエピソードが聞けた。 第一、執行猶予中の清原の雑談を今、テレビで観ることが難しい。薬物中毒を脱するためのリハビリ生活を追ったドキュメンタリーはある。しかし、そういった番組で取り上げられる清原は「失落した元スター選手」という一側面だけだ。本来の性格である無邪気さが一瞬たりも漏れてこない。『片岡篤史チャンネル』での清原は素の状態で出演していた。片岡のチャンネルにはナレーション、言葉を強調して伝えるYouTubeでもおなじみのテロップによる演出がほぼないため、どこよりも生っぽい清原が動画に映っていた。 1本目の動画で清原は「逮捕された時の心情」から「現在の生活」までを語る。田代まさしもかつて話していた“薬物依存者あるある”なのだが、清原は「寂しさ」から覚せい剤に手を出してしまったという。また、薬物を毎日は常用していない自身を薬物依存者だと考えていなかった、と反省する。この禊といえる動画の約30分間、2人は一切笑うことはなかった。 2本目からは元プロ野球選手らしい動画となり、清原と片岡は母校であるPL学園に想いを巡らせる。詳しい内容は動画を観ていただきたいのだが、2人が笑いながら語る学生生活は、体育会系とは隔離された世界で生きてきた僕からすれば、衝撃の内容であった。 野球と寮生活、それしかないPL学園での生活。集団生活における若者のパッションが“甲子園”という目標に一点集中すれば、そりゃおかしくもなる。金銭的に余裕も生まれ、夜遊びにも精を出すプロ野球選手とは全く異なる野球がそこにはある。絶対に体験したくないが、むせ返るほどの青春話は興味深い。 3本目の動画では清原の西武時代が語られていた。こうして全ての動画を視聴したのだが、やっぱり清原の雑談力は高い。何があっても希有なスターであることを再確認した。そして3本ともに、高校の後輩でもある片岡が良くも悪くも規格外な清原を受け止め続ける。時折、清原が「コレ話してもいいんかなぁ……」と悩んでも片岡は「もう時効、時効ですよ!」と話を引き出す。ゆえに、清原から漏れるエピソードが過激となる。おかげで、まるで劇画の中の出来事のような話を聞くことができた。 清原に限らず、こんなに面白いエピソードトークが湯水のように湧き出る人たちを、しゃべりのプロが放っておくはずがない。ナイツが司会を務める『プロ野球 そこそこ昔ばなし』(Amazonプライム・ビデオ)は、元プロ野球選手による、100%バラエティに振り切った内容となっている。なかでも、準レギュラー金村義明による近鉄の貧乏球団エピソードは鉄板ネタ。繰り返し聞いても笑える話に仕上がっている。 このように現在、元プロ野球選手によるエピソードトークブームが訪れている。そして、特徴的なのは試合そのものより周辺事情が数多く語られている点だ。 野球はワンプレーごとに止まるため、そこで何かが起こる。常に動いているスポーツにはない野球の特質がエピソードトークを生みやすい環境であることも理由だろう。また、アメリカから輸入されたスポーツ・ベースボールが日本にフィットしたことも関係していると思う。日本人が野球を愛した結果、武道、柔道、相撲道、華道のように「野球道」といった言葉まで誕生した。“道”とは「分野を通じて、人としての成長を目指す」意味が込められている。技術とともに人間性を問われる野球には、理不尽さが付きまとう。 結局、一場問題、清原と片岡のPL学園話、金村の近鉄漫談にしても全てが理不尽さから派生したものである。そして時を経て、当人たちは当時の理不尽さを笑い飛ばしている。体育会系のカラッとした空気感が心地よい。絶対に体験したくないが、濃厚な日々がちょっと羨ましい体育会系の自虐ネタは面白い。そんなエピソードを知名度が高い元プロ野球選手が話せば、コンテンツとして流行ること必須。今のブームは当然ともいえる結果だと思う。
2019.12.22 16:00
NEWSポストセブン
芸能界の薬物事件、転機は酒井法子&押尾学逮捕の2009年
芸能界の薬物事件、転機は酒井法子&押尾学逮捕の2009年
 有名人による薬物事件が絶えない昨今。2019年は3月にピエール瀧、5月に元KAT-TUNの田口淳之介と小嶺麗奈、11月にスノーボード選手の國母和宏、沢尻エリカが逮捕されている。 芸能人と違法薬物の関係を振り返る上で、今から40年以上前の1977年ほど重要な年はない。 その1年間は圧倒的に芸能界と薬物報道一色であった。歌手の井上陽水の大麻事件に始まり、内田裕也、研ナオコ、錦野旦、美川憲一と、有名芸能人が続々と麻薬事件で逮捕され、関係者を含めた60人以上が摘発されたのである。当時の芸能マスコミは、売人から流出したとされる「大麻顧客芸能人150人リスト」の存在を指摘した。 1990年には映画『座頭市』で知られる国民的俳優の勝新太郎がハワイ・ホノルル国際空港で大麻とコカインを所持していたとして逮捕されて衝撃を与えた。1995年には長渕剛が大麻所持で捕まり、捜査の過程で国生さゆりと不倫関係にあったことが取りざたされた。 この事件を取材した当時の新聞記事では、若者が海外でコカインを味わい薬物を常用するようになっていることや、一部のタレントが特権意識やファッション感覚から薬物を使用しているとされた。この現状は今も変わっていない。 芸能界と薬物を巡るターニングポイントはやはり2009年で、酒井法子の事件と押尾学の事件が相次いで発生した。押尾の場合、一緒に薬物をやっていたクラブホステスが亡くなるという最悪の事態を起こす。 同じ年、沢尻にも転機が訪れていた。当時の所属事務所が自発的に薬物検査を行い、違法薬物の陽性反応が出たことを理由に契約解除されたと報じられた。「押尾事件でMDMAの危険性が全国に知れ渡り、その後はMDMAの押収量が激減しました。ところが近年は『ピュア』(沢尻が所持していた、MDMAの良質な成分だけを結晶させた粉末状のもの)の登場もあって、再び増加している。社会全体が薬物に対するリスクを軽視し始めている風潮もあるでしょう」(捜査関係者) 歌手の千葉マリアの息子で、薬物依存症の回復を支援するリハビリ施設「館山ダルク」代表の十枝晃太郎さんが言う。「芸能界は社会の縮図であり、世間での薬物の蔓延の度合いが、芸能界に表れているように思います。それでも、芸能人にはたしかに薬物に手を出してしまうような気質の人も多い。田代まさしさんと接すると、“常に人を楽しませたい”というサービス精神を感じました。人に薬物をすすめられた時、断りにくかったり、相手の期待に応えたいという気持ちが、つい出てしまうのかもしれません」 そもそも芸能界と違法薬物の親和性が高いという指摘もある。薬物犯罪に詳しい作家の藤原良さんが話す。「時代はヒロポン(覚せい剤)が合法だった時代にさかのぼります。時々ビートたけしさんもテレビなどでヒロポン話をネタにして笑いをとったりしていますが、芸能界だけでなく落語家、歌舞伎役者も昔はヒロポンを使っていた。 その後、覚せい剤が違法になると、一気に流通量が減ります。そこで水面下で覚せい剤を運べたのが、1つは全国組織の暴力団のネットワークです。もう1つが、暴力団のサポートの下で全国各地を興行で回っていた芸能界だった。むしろ、ヤクザ特有の『シマ(縄張り)』がない分、芸能関係者の方が運びやすかったとも言えます。ミュージシャンやタレントだけでなく、その付き人やスタッフも、かつては“運び屋”をして糊口を凌いでいた人が少なくありませんでした」 芸能界と暴力団組織が非常に近い関係だった時代があったこともたしかだ。ヤクザ側からの太い“供給ルート”もあっただろう。反社会的勢力との交際が御法度である現在はどうだろうか。薬物の売買にかかわったことがあるという暴力団関係者はこう話す。「大御所と呼ばれる歌手や芸人、タレントだけでなく、事務所の関係者にも、かつてのヤクザとの関係が続いている人も少なくない。若い芸能人だって、そういう先輩を見て育っているから、ヤクザに抵抗感は少ない。 結局のところ、今日本で出回っているほぼすべての違法薬物は、海外マフィアから暴力団が仕入れたものです。それが現役組員から、元組員や半グレ、友人知人らを経由してバラ撒かれる。実は、組員から直接、常習者に売られるケースはほとんどないですが、それでも芸能人の中には、ASKAのように現役組員から直接入手するケースも少なくない。結局、かつての“腐れ縁”が今も続いているということなんでしょう」※女性セブン2019年12月19日号
2019.12.08 16:00
女性セブン
報道陣が待ち構える中、警視庁東京湾岸署に入る沢尻エリカ容疑者を乗せた車(時事通信フォト)
大麻やMDMAを入口に、さらに危険な薬物にハマる悪循環
 薬物に詳しいと自称する人には、なぜか「●●なら害はない」「●●はコントロールしやすい」といったクスリの優劣をつける人が少なからずいる。しかし、その発言は無責任に過ぎると危険ドラッグの取材を続けてきたライターの森鷹久氏はいう。大麻などのゲートウェイドラッグを軽い気持ちで使用したことをきっかけに、より依存性や副作用が強い薬物への扉を開いてしまった者の後悔と、薬物との関わりを絶つ唯一の方法についてレポートする。 * * * 薬物使用、所持による芸能人、有名人の摘発が相次いでいる。大きく報道されたものだけでも、今年3月にコカインを使用したとして逮捕されたミュージシャンで俳優のピエール瀧(52)に端を発し、5月には元・KAT-TUNの田口淳之介(33)が大麻所持で、11月6日には同じく大麻所持でスノーボード元日本代表の国母和宏(31)、覚せい剤所持で元タレントの田代まさし(63)が検挙、そして今回、合成麻薬所持の疑いで女優の沢尻エリカ(33)が逮捕された。 さて、一般人にとってみれば、大麻にコカイン、合成麻薬や覚せい剤、そして筆者が長らく取材を続けてきた「危険ドラッグ」との違いなど知る由もないだろう。全てが手を出してはいけない危険な薬物である、ということに変わりはないと、まず断言しておきたい。しかしここにきて若干の、いや、一部の若者にとっては「当たり前」になってしまった危険な感覚が蔓延しつつある。冒頭に羅列した芸能人の中でいえば、覚せい剤の田代のみがアウトで、他の芸能人は大麻やコカインだから”大したことがない”という風潮だ。 もちろん我が国では、前述した薬物の所持はいずれも各法律によって厳罰に処される。しかし、前述の“大したことがない”という考えに染まっている人たちは、薬物の中で大麻は比較的ライトなドラッグとして捉えられている。彼らがよく例に出すのは、ヨーロッパの一部では所持も使用も合法であり、欧米でも嗜好用大麻の解禁が相次ぐなどしているという事実だ。そういった事情が、若者と大麻の距離を近づけていることは間違いない。さらにミュージシャンの中には、大麻だけでなくコカイン、合成麻薬の所持や使用で逮捕されても、復帰して人気を博している人だっていることから、覚せい剤以外の薬物犯罪は他の犯罪と違って軽いという奇妙な考えに至る人もいる。 一方で、これらの薬物が「我が国では所持や売買が違法」とされている理由について、果たしてどれだけの人が理解しているだろうか。そこには、根拠と呼ぶには心許ない現実がある。深淵を覗く時、深淵もまた…、ということである。関東地方にある薬物依存者更生施設関係者の弁。「大麻がタバコより依存性が低いなどといった研究結果があることは承知している。なぜ大麻を解禁しないのか、という声があるのもわかりますが、そもそも大麻の研究が、海外に比べて日本ではほとんど行われていません。医療用でも研究はこれからというレベルなのに、ましてや嗜好目的での解禁という議論などできるわけがない。だからといって薬物使用者が、そういった理屈、例えば自身が抱える難病の治療、症状緩和ために止むを得ず使っているのかというと、ほとんどが違います。国内での所有もダメなのに”法律がおかしい”といって購入して使用してしまう人たちには、そもそも遵法意識がない。法治国家において信用がない人ということ。遵法意識のなさは、暴力団など反社組織が付け入る格好の隙になります」 大麻に関して「法律を変えろ」と訴えながら、コッソリ大麻を使用(使用するからには所持しなければならないので法律違反)してしまえば、その説得力はゼロになる。某元女優は全く同じ道筋を辿り逮捕され、社会的な信用を失墜させた。国母が大麻取締法違反で逮捕された同日「大麻が違法なのはおかしい」とする記者会見を開いたが、彼女の主張が仮に正しかったとしても、法律を破りながらの訴えでは、まともに聞き入れようとした人はごくごく僅かだっただろう。 そして何よりも、大麻という違法薬物を入手するためには、暴力団などの法律を守るつもりがない人々と接点を持たなければならないという点も忘れられがちだ。「クサ(大麻)は気持ちよくなるだけやし、罪悪感はなかったですね。クサを引きよった(購入していた)のは地元の暴力団で、そのうちタマ(合成麻薬・MDMA)もあるけん買わんや、ってすすめられて。断ったら大麻のことバラされるかも知れんでしょ、仕方なく買うたけど捨てました。シャブ(覚せい剤)勧められたのはそれからすぐですよ。クサ買いに行ったらその場で“お試し”って言われて、吸わされて。シャブだけは絶対にせん(しない)、と思ってましたけど、一回やったらダメでした」 こう回顧するのは、他でもない、九州に在住する筆者の後輩である。もともとお調子者ではあり、十代の頃から繁華街のクラブに出入りしては酒を飲み、喫煙していた。しかし、父とは死別し女手一つで育てられた彼は、母親だけは絶対に困らせまいと仕事にも大いに打ち込み、家賃や生活費などは全て負担した。しかし二十歳の成人式を迎える前に、覚せい剤の所持と使用の疑いで逮捕されたのだった。「大麻は影響が少ないていうでしょ、俺もそう感じてました。シャブなんかより全然大丈夫って思ってました。でも今考えるとですね、クサに手を出した時点でこうなることは決まっとったんです。クサも初めて吸ってみて気持ちよくなってやめられなくなった。シャブもそうです、一回やったらもう手放せんように…」 幼少期に親や年長者に言われた「悪い人と一緒にいてはいけない」ということ。それは、子供である私が「悪くなっては困る」ではなく「悪い人に取り込まれてしまう」という心配、そして純然たる親心なのだ。後輩は結局覚せい剤の使用などで三度逮捕されたが、三十路で子供ができて心を入れ替えた。それでも「いつかまたやってしまうかも知れないという葛藤」と日々戦い続けている。 現在、MDMAなどの合成麻薬、コカインは一般的には「ファッションの延長」で使用する人が多いと言われる薬物だ。前者は大麻より末端価格が安く、2000年代前半には渋谷センター街の露店でも気軽に買えるほどのシロモノで、筆者が通った渋谷のクラブでも愛用者は多かった。一粒摂取すれば高揚感が増し、音楽がよく聞こえたり、異性と関係を持つときなどに利用された。しかし、のちに死者が続出した危険ドラッグ同様、違法な人たちが違法に売りさばく”ブツ”には何が入っているかわかったものではなく、利用者は次第に減っていった。そしてコカインの末端価格は大麻の1.5倍から2倍程度、摂取すればすぐに効果が現れるが、すぐに幻覚作用が消えてしまうために、一部では富裕層のための「セレブドラッグ」などとも呼称される。 筆者の取材によれば、約10年前に危険ドラッグが流行し始めたのは「大麻の取り締まりが厳しくなったため」であった。中には、合成麻薬や覚せい剤よりも安価で“キマる”と危険ドラッグを手にするユーザーもいた。危険ドラッグの規制が強化されると、再度大麻の流通量が増え、摘発件数も急増した。これが何を物語っているのか。「薬物を取り巻く現状は、おそらくずっと変わっていないし、これからも変わらないでしょう」 以前筆者の取材に応じてくれた元暴力団幹部は、三十年以上前から違法薬物の売買に関わってきた“元売人”である。「大麻から合成麻薬、そしてシャブという順序で客を落としていけば(引き込んでいけば)金になります。大麻や合成麻薬がなければ、昔はシンナーだったりトルエンを捌いた。最近はそれが危険ドラッグに変わった。売人は客を見て捌き方を変えますから、相手が金持ってて長く付き合えそうならコカイン、たまにシャブ。ガキ相手なら大麻かなんかで釣って、最後はシャブで落とす。落とすといっても、廃人にしちゃ儲かりませんのでうまくやろうとするんですけどね、客がその間に勝手に壊れる。クスリにも流行があるから、今、芸能人が大麻だコカインだってやれば、若い連中にも絶対に流行る。それで規制されて、訳のわからないクスリが出回る。その間にも、シャブに手を出す奴らも必ずいる。このサイクルです」 好奇心が強く付き合いがよい人ほど、深みへと引きずり込まれやすい薬物の問題。どうすれば防げるのか。「例えば車を運転していて”もっとスピードを出してスカッとしよう”と、助手席に座る友人から言われたらどう思いますか? 危ないし、捕まるのは自分だから嫌だと思いませんか? 結局、薬物に誰かを誘うと言う人は、自己の快楽のために相手を利用してやろうという感覚しかない。そういう人を友達と言えるのか、考えればわかること。薬物の利用者に、生まれた時から薬物が好き、興味があったという人はいない。皆、こうやって取り込まれていくのです」(元売人) 知人友人を無くそうとも、その場の空気を読まなくてもよい。もし自身の近くに”薬物”が現れたら、とにかくその場から離れ、関係をきっぱり絶つことだけが唯一無二の防衛策なのである。
2019.12.01 16:00
NEWSポストセブン
沢尻、ASKA、酒井法子も なぜ「湾岸署」は芸能人御用達か
沢尻、ASKA、酒井法子も なぜ「湾岸署」は芸能人御用達か
 麻薬取締法違反で逮捕され、芸能界に衝撃を与えた沢尻エリカ(33)。警察による取り調べが続いているが、東京・目黒区の自宅マンションで逮捕された後、彼女が移送されたのは、直線距離で約9km離れたお台場の湾岸警察署だった。「大物芸能人の場合、勾留は湾岸署というのが警察のセオリーなんです」(警視庁担当記者) 2009年に覚せい剤取締法違反で逮捕された酒井法子の場合、渋谷警察署で取り調べを受けた後に湾岸署へ。2014年にはASKA、2016年には清原和博といった”大物”たちが湾岸署の留置場に入っている。いったいなぜなのか。「湾岸署は2008年にできたため留置場が新しい上、署の周囲に何もなく、マスコミが殺到しても対応しやすい。特に女性専用の留置場がある施設は限られるため、女性芸能人の場合は湾岸署に入ることが多い。といっても、中での扱いは他の容疑者と変わりません」(警視庁OB) 今年に入ってから逮捕された芸能人といえば、元KAT-TUNの田口淳之介と交際相手の小嶺麗奈、ピエール瀧らがいる。沢尻は警視庁(組織対策5課)に逮捕されたが、この3人を挙げたのは厚労省の麻薬取締部(通称マトリ)。それでも、移送されたのはやはり湾岸署だった。「マトリの場合、逮捕しても勾留する施設がなく、警察の留置場を使用することになるので、収容人数が多い湾岸署が使われることが多い」(マトリの捜査官) 湾岸署の前で深々と頭を垂れる姿は、いまや逮捕された芸能人の“通過儀礼”となっている。「入り口が広く、正面でカメラを構えられるから、保釈時の写真が撮りやすい。テレビの中継車も場所取りがスムーズにできるので、湾岸署のほうがマスコミにも都合がいい」(前出・警視庁担当記者) ちなみに、有名人でも湾岸署に入らないケースもある。田代まさしや清水健太郎、高橋祐也(三田佳子の息子)らは何度も逮捕されているが、湾岸署に勾留されることはない。湾岸署に送られないようになったらいよいよ芸能人としては終わり……ということなのか。 沢尻は12月6日まで20日間の勾留期限を迎えた後、保釈される見込みである。彼女が湾岸署の玄関で見せるのは、“聖女”と“悪女”どちらの沢尻か。※週刊ポスト2019年12月13日号
2019.12.01 16:00
週刊ポスト
薬物使用有名人 相次ぐ逮捕受けて地方で使用するケース増加
薬物使用有名人 相次ぐ逮捕受けて地方で使用するケース増加
 女優の沢尻エリカ(33才)が合成麻薬MDMAを所持していたとして警視庁に逮捕されたが、ここ最近有名人の薬物事件が相次いでいる。11月に入ってからだけでも、元タレントの田代まさし容疑者(63才)、プロスノーボーダーの國母和宏容疑者(31才)、金融トレーダーのKAZMAXこと吉澤和真容疑者(30才)が、それぞれ違法薬物で逮捕。5月にはピエール瀧(52才)がコカインで、元KAT-TUNの田口淳之介(33才)とその交際相手である小嶺麗奈(39才)が大麻で逮捕された。 連続する有名人の逮捕を受けて、薬物の使用をやめる有名人もいるだろうが、一方では発覚を恐れるがゆえに都心を避けて、地方で薬物を使用するパターンもある。「誰もが知っている大人気ユニットのAは沖縄で、しかも海の上でだけ。クルーザーの上が彼の“ドラッグルーム”だとか。ただ最近は沖縄の捜査当局もAを疑っており、彼が沖縄入りすると徹底的にマークするそうです。 以前から薬物使用疑惑のある個性派俳優のBは、北海道に“それ用”のマンションを購入したそうです。『北海道警察がユルいから楽勝だよ』とうそぶいて、頻繁にドラッグを使用していると聞きます」(ファッション誌関係者) 沢尻の例を見るまでもなく、クラブとドラッグは親和性が高いが、クラブを敬遠する有名人もいる。「有名プロ野球選手Cの息子さんは、幅広くビジネスを展開する実業家として有名です。その彼もいわゆるジャンキーですが、“警察がマークしている東京のクラブでやるやつはバカだ”と。彼はもっぱら地方のビジネスホテルです」(クラブ関係者) 薬物疑惑の対象者が広がるなか、こんなケースもあったという。「やんちゃな性格で知られる若手俳優のDは違法薬物の問題が報じられるたびに『アイツは大丈夫か』とネットで騒がれますが、彼はクスリを断ってかなり経っています。クスリで人生を棒に振る芸能人を見ては『もったいないことをする』と憤慨しているほどですよ。 薬物使用のタレコミがあったお騒がせ女優のEは、1か月ほど前に当局の内部情報が漏れ、ガサ入れ直前に逃げたとか。これは捜査員のミスとして内々に処理されました」(ファッション誌関係者)※女性セブン2019年12月5・12日号
2019.11.24 07:00
女性セブン
女優として再評価され始めた矢先だったが…
沢尻のいたクラブで俳優2人が大麻吸って大暴れの過去
 女優の沢尻エリカ(33才)が11月16日、合成麻薬MDMAを所持したとして、麻薬取締法違反の疑いで警視庁組織犯罪対策5課に逮捕された。違法薬物によって逮捕される著名人が後を絶たない。 11月に入ってからだけでも、元タレントの田代まさし容疑者(63才)、プロスノーボーダーの國母和宏容疑者(31才)、金融トレーダーのKAZMAXこと吉澤和真容疑者(30才)と違法薬物による逮捕が相次いだ。「特に吉澤容疑者は沢尻さんと同じ渋谷のクラブ『W』を出たところで警察官に取り囲まれました。立て続けにこの『W』に出入りする有名人が逮捕されたことで、このクラブは界隈で悪目立ちしてしまった」(全国紙社会部記者) 沢尻は逮捕の1か月前、都心のビジネス街に姿を現した。「沢尻さんの友人が企画したパーティーが行われていたんです。世界的にも有名なイベントで、インターネットにアップされた動画には、ドリンクを片手に踊り狂う沢尻さんの姿がバッチリ映っていました。 沢尻さんが逮捕されると動画はすぐに削除されましたが、実はこのタイミングで沢尻さんの逮捕情報がすでに出回っていました。沢尻さん自身も捜査のメスが入っていることを少なからず意識していたはずです」(沢尻の知人) 実は沢尻の友人をめぐっては、3か月ほど前に大きな動きがあった。「表立っては報じられていませんが、3か月ほど前に沢尻さんの友人のA氏が違法薬物で逮捕されたんです。 A氏は芸能界でも顔が知られていた人だったので、彼の逮捕はドラッグ常習者の芸能人に衝撃を与えて、“自分も狙われているかも”と警戒する人が続出しました」(別の沢尻の知人) 沢尻人脈に捜査当局は目を付けていた。その舞台の1つが前出の渋谷のクラブ「W」だった。 奇しくも「W」では、大物二世俳優で好感度の高いBと、数々の映画祭で受賞歴のある個性派俳優Cの2人組の「ある騒動」が目撃されていた。「今年の夏です。沢尻さんがいたのと同じ4階のVIPルームでパーティーが開かれたのですが、BとCはものすごいハイテンションではしゃいでいました。その様子を見ていた、今年、来年とひっきりなしに映画に出演しているアラフォーの人気俳優Dが『お前ら、バカじゃねえのか』と激怒。あまりの剣幕にクラブ関係者が“これはマズイ”とBとCを羽交い絞めにして、近くの会員制バーの個室に押し込みました。2人は大麻を吸っていて、さながら大麻パーティーの様相でした。 それでもDの怒りは収まらず、『あの様子じゃ、いつ警察に職質されてパクられてもおかしくない。少しは警戒心を持てよ』とぶちまけていました」(クラブ関係者) 無警戒ぶりを指摘されたBも親しい仲間の逮捕が相次ぐと、細心の注意を払うようになった。「Bはウインタースポーツ界隈の人と仲がよく、その人たちと遊んでいる時によくドラッグを使用するのですが、先日スノーボードの國母選手が逮捕されたことには肝を冷やしたみたいです。 またよく遊んでいた田口淳之介(33才)が5月に大麻取締法違反容疑で逮捕されたことにもショックを受けたそう。しかも沢尻さんとも仲がいい。以前は“おれは捕まらない”と思い込んで撮影現場でも隠れて大麻を吸っていましたが、最近はすっかり控えているそうです」(前出・クラブ関係者) NHKの朝ドラで活躍した人気俳優Eも「自重組」の1人だ。「Eは昔からのドラッグ常習者ですが、周囲の逮捕劇を見てここ最近はドラッグを控えるようになりました。例年なら夏の音楽フェスで薬物を使用していましたが、今年は『今回はヤバそうだから持ってこなかった』と言っていました」(音楽関係者)※女性セブン2019年12月5・12日号
2019.11.22 16:00
女性セブン
『バカ殿』での田代まさしは喜劇人として最高(イラスト/ヨシムラヒロム)
田代まさし5度目の逮捕で考察 『バカ殿』封印は正しいのか
 田代まさし容疑者が覚せい剤で5度目(薬物では4度目)の逮捕と報じられた。かつてテレビっ子だったイラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、こよなく愛するテレビ番組のひとつが『志村けんのバカ殿様』(フジテレビ)で、1986年から2001年まで側用人として出演していた田代まさしと志村の掛け合いは絶品だったという。近年は、どんな罪状や内容でも芸能人が逮捕されるなどの不祥事を起こすと、条件反射のように出演していた作品が片端から鑑賞できなくなる。その対応は適切だといえるのか、ヨシムラ氏が考えた。 * * *「あ~あ、せっかくここまでがんばってきたのに……」6日に逮捕された田代まさしのニュースを観た時に漏れた感想である。5度目の逮捕、残念でならない。今回の容疑について本人は否定しているが、薬物に近いところにまだいたのかと、悪い連想ばかりが浮かぶ。 近年、田代の調子が上向きつつあったので尚更歯がゆい。2度目の出所以降、田代は「今、目の前に覚せい剤を出されたらやっちゃう。前は『やめた!』と言ってたけど、あれは嘘です。覚せい剤はやめられないから怖いんです」と話していた。 今年の田代は覚せい剤に対して、いい意味で諦めの境地に入っていた。7月にはEテレ『バリバラ~障害者情報バラエティー~』にも出演し、笑いを混ぜつつ覚せい剤について語る講義も行った。人気歌手、タレント、ニュースキャスターに成り上がったのに没落してしまった「芸能界イチのしくじり先生」といったキャラクターも確立され、露出も増えてきたのに……。 田代の微々たる復活は、個人的に『志村けんのバカ殿様』再放送の兆しと受け取っていた。覚せい剤で逮捕され、2001年に番組降板が完全に決まったあと、『バカ殿様』の放送に田代は再放送も含めて一度も姿を見せていない。何度も逮捕されている人間ではある。しかし、自らの落日を例とし、覚せい剤の恐ろしさを啓蒙する田代に少しの救いがあってもいいと思っていた。その一つとして、過去の傑作が再評価されてもいいのではないか、と。 確かに逮捕はされたが、彼の罪状は、過去の仕事が全て無かったことにされるほどのものなのだろうか。このような意見を嫌う人がいるのは理解できる。禁止薬物の使用と所持は確かに犯罪だが、直接的に誰かを傷つけたわけではない。家族や、仕事で関わりがあった人たちには迷惑をかけただろうが、築き上げたものを全否定されるほどの犯罪なのだろうか? 田代の金が闇社会に入ったことによってトラブルが生まれた可能性は否めないが、それは間接的な問題である。 それこそ『バカ殿様』は「誰かを傷つける」といったことの真逆にある作品である。豪華なセットで、志村が扮するバカ殿に田代を含めた側用人集団があたふたさせられる内容。バカバカしくて愉快なコント、準主役の田代は『バカ殿』においては側用人という役柄として画面に存在していた。自らのパーソナリティーを露出したわけではない。喜劇人として全うし、覚せい剤といったダーティーなブツと関連している様子はもちろん観られない。 それにも関わらず、『バカ殿』は現実として再放送されていない。理由としては、制作局の自主規制であろう。過去に罪を犯した人間がテレビに出演してはならない、といった法律はない。しかし、「映してはいけない」といった不文律があるようだ。 田代は様々な媒体で覚せい剤に何度も手を伸ばしてしまう理由を聞かれてきた。その度に彼は「刑務所から出てきても誰も助けてくれない。孤独になると、さみしいからまたやってしまう……」と答えた。過去、自分が行ってきた仕事が抹消される。自主規制とはある種、究極の無視だといえる。過去の作品をいっさい消去してしまう今の自主規制のあり方はさみしさを助長させる。結果的に再犯への後押しになっていたのではないか。 田代は「毎日、ギャグを考えるのがしんどくて……」覚せい剤に頼った経緯を持つ。ある意味、ギャグに殉死した芸人。覚せい剤に手を伸ばすほど芸能に奉仕した生真面目すぎる男である。局側にも多く貢献してきたはずだ。もちろん、イメージやスポンサーといった問題があることも理解できる。しかし、『バカ殿』はバカなだけの優れたコント作品だ。過去の傑作を再放送することくらい、どうにかならないものか、とも思ってしまう。 自主規制によってテレビに出演できない田代、現在の活動はネットテレビに比重が置かれている。ゆえに、ネットテレビに関するコラムを記している僕ははからずも田代ウォッチャーになってしまった。 田代は2019年6月、『田代まさし ブラック マーシー半生と反省を語る』と名付けたYouTubeチャンネルを開設した。動画の概要欄には「依存と戦っている現在の田代まさしの姿を見て頂き、皆様の応援を頂きたくこのチャンネルを開設致しました」と経緯が記載されている。 動画内で田代は元覚せい剤中毒者であることを自虐ネタとしていた。しかし、こういった「しくじり」キャラは絶対に再犯しないという暗黙のことわりゆえに許容できた気もする。田代は覚せい剤の怖さを卓越した話術で啓蒙し続けたが、結局のところ覚せい剤の魅力に抗えなかった。5度目の逮捕によって、生き様で覚せい剤の怖さを伝えたのは皮肉でしかない。 過去の逮捕で田代はすでに2度、服役している。もし今回の逮捕から有罪が確定したら、3度目の服役に繋がるだろう。3度目の出所後、田代は再び覚せい剤について語るのだろうか。いや、語るしかないのだ。さみしさを何よりも嫌う田代にとって、社会との接点を見出すポイントはここしかない。再び、身をすり減らす自虐ネタに興じることとなる。 田代の奇妙な人生と機知に富んだトークがコンテンツになることはわかる。しかし、田代は身を擦り減らすと覚せい剤に頼る癖がある。この悪循環がずっと繰り返されてきた。ゆえに田代の周りにいる人は私生活の露出によって救いを見出すことを止めるべきだ。心身ともに不健康な人間がパーソナリティーを売り出すことは危険である。派手な芸能活動に望郷の念を抱くことは理解できるが、そこは自主規制した方がいい。極力、実人生を切り売りすることが主にならないで済む手法を考えるべきだろう。 田代は表に出ないとさみしくなり。しかし、表に出たら「人を喜ばせたい」といった強い責任感に悩むめんどくさい人である。ただ、どうにか覚せい剤以外の手段で立ち直ってほしいと思う。一流の才能を持っているだけに……。 乱れるきっかけとなった「笑い」が今度は救いのキッカケになればいいのに。難しいことは重々承知しているが、僕は再びコントであたふたする田代が観たい。
2019.11.10 16:00
NEWSポストセブン
逮捕は繰り返されてしまった
田代まさし5度目逮捕 また「啓蒙」活動に取り組む彼を見たい
 依存症は誰の身にも起こりうる“現代病”である。コラムニストのオバタカズユキ氏が田代まさし容疑者について考察した。 * * * 今月6日、タレントの田代まさしが覚醒剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕された。2001年12月に同違反で捕まってから、実に5度目の違法薬物での逮捕。ニュースで知った時は、「またまたやっちまったのか……」と私も正直呆れたし、「これは世間からありったけの罵詈雑言を浴びることになるぞ……」と思った。 ところが、である。さっそく各マスコミが大きく報じても、その論調は意外とおとなしく、「薬物の闇はどこまでも深い」といったふうに無難なまとめ方をしているところが多かった。ふだんは煽ってナンボの商売をしているスポーツ新聞系のウェブニュースやテレビのワイドショーなども同様で、薬物依存の怖さを過剰なほど強調することはあっても、田代の人格否定に走るような乱暴な表現はほとんど見かけなかった。 芸能人の違法薬物逮捕といえば、ヘリを飛ばして生実況するは、逮捕者のプライベートについてあることないこと暴きまくるは、コメンテーターに毒づかせるは、といったお祭り騒ぎになるのがお決まりだったはず。なぜ今回は調子が違うのか。 ひとつにはもう5度目で、「今さら驚くでもなかった」ということが考えられる。もうひとつに、いつしか病気としての薬物依存に関する知識が徐々に広まって、「叩くよりも心配する」問題に変わってきているところなのかもしれない、と思われる。 世間の反応をネットから拾ってみても、やはりそうだった。当初一番目についたのは、〈田代まさしまたかw〉〈田代まさしまた逮捕されてて草しか生えんわ〉〈田代まさしの逮捕はもはやお家芸と思うのは僕だけですか〉といった「呆れ系」。まあ、それはそんなものだろう。 次いで多いと思われた「人格否定系」が実はとても少なかった。ツイッター検索をしつこく続けても、それに該当したのは、〈やめちまえ! 人間を 田代まさし〉〈田代まさしほんとバカやなぁ 終身刑にして欲しい〉〈もうこの人に関わるな。 特に桑マンと志村けんには、田代まさしには近寄らない方がいい〉くらい。罵詈雑言の嵐を覚悟の上で探したのだが、いい意味で肩透かしを食らった。 意表をついて多かったのは、「私だって依存してる系」である。ちょっとウケを狙いの大喜利みたいな気分で書いているふうもあるが、「違法薬物依存者=人間やめた人」という見方が圧倒的主流だった頃を思うと、この視線の変化には目を見張るものがある。〈田代まさしがまた捕まったが驚かないな。ダイエットの為に白米を食べるのを、やめたいのに、白米すら、やめれない私が、もし覚せい剤やったら絶対やめれないんだろうな。依存は怖い〉〈この中でTwitterをやめられた者だけが田代まさしに石を投げなさい〉〈どうしてもタバコがやめられなかったり、明日仕事だってのに遅くまで飲んでしまったり、職場の上司とダラダラと不倫関係を続けてしまったり。。そんな俺達に田代まさしを批判出来るのか!俺達はみんな田代まさしじゃねえか!〉 そして、今回、もっとも特徴的だったのは、マスコミがそうだったように、「薬物依存の怖さに言及系」が、ツイッターの声としても少なくなかった点だ。〈田代まさしさん、人生をかけて薬物依存の怖さをあらゆる報告から説いてる…〉〈田代まさしを刑務所に入れるより隔離病院で治療の方がいいと思うよ、病気やから。 あれだけ同じ事を繰り返したら、刑務所に入れても何の解決にならないけどなぁ…〉〈田代まさしみたいにヤクブツで何回も捕まる常習犯はリハビリ施設に入院させて離脱させるべきだと思う。本人の反省だけでは覚醒剤やコカイン中毒からは抜けられないから。日本はヤクブツ中毒者結構多いからリハビリ施設を増やすべきでは〉「孤立の病」とも言われるような薬物依存症の患者を、隔離病院に入れては逆効果のような気がする。けれども、〈刑務所に入れても何の解決にならない〉というのはまったく同感で、少なくとも田代まさしの場合、これまで4回刑務所に入れてもまた薬物に手を出して逮捕されたわけだ。再発抑止としての刑罰の無力ぶりを証明してしまっている。日本の違法薬物使用者に対する厳罰主義は、初犯を減らす意味では有効だ。だが、高い再犯率を下げる効果はなさそうだ。〈常習犯はリハビリ施設に入院させて離脱させるべき〉というのはその通りだろう。今回の田代まさしの場合、薬物依存症リハビリ施設のダルク(DARC)とつながっていながら逮捕に至ってしまったわけだが、それはダルクが無効なのではなく、彼と彼が通っていたダルク施設との相性がたまたま合わなかったのか、もっと他の支援ともつながるべきだったのではないか、と専門家たちは指摘している。 いずれにせよ、こうして違法薬物での逮捕ニュースから「依存とはどういうことか」と考えたり、「刑罰よりも治療が必要だ」と意見したりする人たちが増えてきていることは、喜ばしい話だと思う。ツイッターの中にこんな声もあった。〈職場の休憩室で田代まさしまた捕まったよってみんなが笑ってることに嫌悪感を感じた てめえらはその苦しみわかんのかよ 自分が知らない苦しみは全部笑うような社会がイヤだわ〉 この感じ方、対象との距離の取り方、私は好きだ。法を犯した全くの他人の問題として遠ざけるのではなく、自分と地続きの存在としてその気持ちを想像してみるような関わり方。一見、安易なヒューマニズムとも思われそうだが、たぶんこの声はそうじゃない。人は一人で生きられないという大原則を、皮膚感覚で捉えている。 田代まさしのような苦しみを抱える人にとって必要なものは何か。この分野の研究と治療の第一人者といえる精神科医の松本俊彦氏の主著『薬物依存症』(ちくま新書)の中に、こんな一節がある。〈薬物依存症から回復しやすい社会とは、「薬物がやめられない」と発言しても、辱められることも、コミュニティから排除されることもない社会です。それどころか、その発言を起点にして多くの援助者とつながり、様々な支援を受けることができる社会――つまり、安心して「やめられない」といえる社会ということになります〉「やめられない」といえば、まさにその田代まさし自身が、薬物依存者の実態を知ってもらおうと、ここ数年、公の場であえて口にしてきた言葉だ。今年の7月に放送されたEテレの『バリバラ』では、こう語っていたそうだ。「捕まる度にファンをがっかりさせた、家族に心配をかけた、もう二度とやってはいけないって強い意志を持つんだよ。それでもね、目の前に(クスリを)出されたり辛いことが起きると、大切なものよりも魔力が勝っちゃうんだ」 今回も残念ながら魔力が勝ってしまったわけだが、このような田代の正直な言動に勇気づけられてきた薬物依存者はたくさんいると聞く。そういう意味でも、田代まさしの次の復帰を受け入れることのできる社会であってほしい。おそらく実刑を食らうのだろうが、刑務所から出てきたら、講演でもユーチューブでもいい。また「啓蒙」活動に取り組むような、チャレンジングな彼の姿を見たい。 追記になるが、上で触れた『バリバラ』の放送動画。ネット上でいつでも見られるようになっていたのだが、説明なしで、削除されてしまった。一方で、同じNHKの『ハートネットTV』による、田代まさしがダルクを紹介する動画はネットに残っている。『バリバラ』がなぜ『ハートネットTV』のようにできないのかはわからないが、どちらも大変貴重な資料だ。こちらの復活も強く願う。
2019.11.09 16:00
NEWSポストセブン
新しい芸を得た田代まさし(イラスト/ヨシムラヒロム)
田代まさし「アンチ覚せい剤の生ける教科書」として地位確立
 お茶の間で人気だった有名人が罪を犯したあと、再び世間に受け入れられるには長い時間と地道な積み重ねが求められる。しかし田代まさしの場合、4度の逮捕と2回の懲役は、軽やかな笑いという彼の芸風に深く傷を付け復帰を難しくした。ところが、ネット番組という、彼の全盛期には存在しなかったメディアが登場したことで、田代は新たな芸風を獲得しつつある。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、NHK Eテレに出演を果たした田代まさしがネット番組で得たものについて考えた。 * * * 一流芸能人であっても、身を持ち崩す可能性がある。自らを商品とする職業は危うい、一寸先は闇だ。 ある芸能人がピエール瀧のニュースに対して、「芸能人は宝くじが当たったようなものなのに……」と言っていた。数年前からテレビに出戻りしたヒロミは「色々な仕事をやったけど芸能人が一番儲かる。身一つでできるしね」と語る。 以上の発言から、売れっ子芸能人は夢のような生活を送っていることがわかる。しかし、当たり券を自ら放棄する芸能人も多い。過去、何人もの失落者を見てきた。そのなかで最も衝撃的だった人物の1人が田代まさしだろう。 不良から成り上がり、全盛期には夕方ニュースのキャスターまで務めていた。しかし、2000年の盗撮で書類送検された報道をキッカケに急転直下で転がり落ちていく。2001年には覚せい剤取締法違反で逮捕。その後、同じ罪を3度も重ねる。田代は刑務所に計7年収監され、メディアからも消えた。 2014年に出所、罪を償ったとはいえテレビ復帰は難しい。ところが、意外な形でテレビに登場する機会を得る。2016年に清原和博が覚せい剤取締法違反で逮捕された際、薬物の恐ろしさについて、身を以て体験した有識者としてコメント。以後、「芸能人と覚せい剤」の専門家・田代は時折メディアに現れた。しかし、そこには過去「小道具の天才」と呼ばれた面影はない。淡々と薬物の怖さについて語るだけ。 当たり前だが、笑いと犯罪の相性は悪い。田代は犯罪を犯したことにより、ふざけることを禁じられた。反省の日々を送る側面だけがクローズアップされる。 しかし2018年、真面目さだけを求められ続けた風向きが変わる。キッカケはネットテレビの隆盛だ。7月に田代はアイドル“THE BANANA MONKEYS”のPVに出演、といっても一緒に踊ることはなく、アイドル相手に授業を敢行。科目は自分史である。『やらかし先生~やらかし人生から学ぼう~』と銘打ち、自身の栄光と没落を解説。「マーシーこそ、失敗を重ねて表舞台から姿を消えつつある有名人が教師を務める人気番組『しくじり先生』に出るべきだ!」といったファンの妄想を実現化した。 そして、PVで解禁となったのが“覚せい剤と笑い”のミックス。過酷な経験談を話芸に昇華する。不謹慎な言い方をあえてするが、元シャブ中芸人・田代が解禁となった。「覚せい剤を打つと覚せい剤中毒という病気になる。『やりたい』といった気持ちがなくなることはないです。完治はない、だから怖いんだよね」と平易な言葉で自身の病状を語る。笑いと真面目を行き来しつつ、覚せい剤を解説する田代。個人的にこのPVはかなり響いた。 僕は長年覚せい剤の注意喚起について疑問を持っていた。 キッカケは大学時代に受けた保健の授業。ある時のテーマが覚せい剤だった。そこで教員は「スピードと呼ばれるものは、疲れをなくし、高揚感を生み出します」と覚せい剤の種類別の効能を紹介。そもそもやるつもりがない僕にとって知らなくていい情報である。期末のテストでは覚せい剤の名称と効能を線でつなげる問題が出題された。覚せい剤の効能を精一杯伝道する教員のアホさに辟易とする。 覚せい剤の報道のあり方もおかしい。通り一遍に覚せい剤の怖さを解説したのち、なぜか紹介される具体的な入手方法。毎度、スタッフが隠しカメラ片手に渋谷の裏路地に出向く。「これが売人だ……」といったナレーションとともに、売人の特徴を丁寧に解説。 上記の事柄を知っても覚せい剤への嫌悪感は生まれない。むしろ若年層にとっては興味が生まれる可能性も。授業と報道が「覚せい剤のススメ」のように感じた。『やらかし先生』で「刑務所から出てきても誰も助けてくれない。孤独になると、さみしいからまたやってしまう……」と田代は話す。多くの日本人が覚せい剤によって田代の富、名声、友達が失われたことを知っている。ゆえに言葉の浸透率が並じゃない。 同じく2018年10月にはAbemaTVに出演。スピードワゴン相手に元シャブ中芸人トークを展開。田代にしかできない話芸を披露した。 2019年6月には、『田代まさし ブラック マーシー半生と反省を語る』と名付けたYouTubeチャンネルを開設。毎回、ロックンロールバンド「クールス」のリーダー佐藤秀光と対談している。田代が語るのは現在働く更生施設「ダルク」での日々。なかでも印象に残ったやりとりを記したい。佐藤「ダルク、何年いるの?」田代「4年。今までは3年半経ったら、また手を出していたの……。それをやっと超えたんですよ!!」 どんな会話だよ!とツッコミたくなるトークを披露。現在、5本の動画が公開されている。特筆すべきこととしては、1つ新発見があった。薬物の後遺症だろうか、テレビに出演するたびに危うさを感じた滑舌の衰えが若干回復。間違いなく2018年の動画と比べて、良くなっている。 そして、先週飛び込んできたニュースに驚く。なんと7月4日、11日にEテレ『バリバラ~障害者情報バラエティー~』に田代が出演。タイトルは「教えてマーシー」、ここからもわかるように“覚せい剤と笑い”を混ぜた講義を披露。放送前にはYouTubeでダイジェスト版も配信された(どんだけマーシーに力を入れるんだNHK……)。 そのサムネイルも攻めている。満面の笑みで親指を立てる田代と紫色に輝く「クスリの魔力」の文字。NHK、完璧どっかおかしくなってる(褒め言葉)。 田代曰く「(刑務所は)売人の知り合いができたりと、悪のコネクションを広げる場所」。覚せい剤の根本治療にならない。条件的にやれないだけで、本音はやりたくて仕方なかったという。『やらかし先生』から一歩踏み込んだ授業をしていた。 2度の懲役を経て出所した田代にとって、ネット番組は重要である。不謹慎なお笑いを拒む傾向が強まるテレビ番組に、彼の新しい芸がすぐ受け入れられる可能性は低い。PV、AbemaTV、YouTuberで慣らし運転。“覚せい剤と笑い”がネット視聴者に受け入れられた先にEテレでの授業がある。ネット番組が存在していなければ、田代はお茶の間へ再び登場できなかった。 田代を追いかければ、覚せい剤の本質が理解できる。治療で処方される薬は病を治すためのものだが、覚せい剤は中毒を発病させる。 過去、公の場で覚せい剤の体験談を明るく語る人はいなかった。ゆえに田代は新しい、そこに嫌悪感を抱く人がいることは理解できる。ただ、悪事に手を染めてはいけないことを喚起するトークがつまらない必要はない。ユニークな語り口の方が沁みる場合もある。なんの因果か、アンチ覚せい剤の教科書になる人物は今のところ田代以外いない。●ヨシムラヒロム/1986年生まれ、東京出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。イラストレーター、コラムニスト、中野区観光大使。五反田のコワーキングスペースpaoで週一回開かれるイベント「微学校」の校長としても活動中。テレビっ子として育ち、ネットテレビっ子に成長した。著書に『美大生図鑑』(飛鳥新社)
2019.07.07 16:00
NEWSポストセブン
『テレ東音楽祭』高視聴率を実現した“正直路線”の丁寧な作り
『テレ東音楽祭』高視聴率を実現した“正直路線”の丁寧な作り
 6月26日に放送された『テレ東音楽祭2019』(テレビ東京系)が視聴率9.7%(ビデオリサーチ調べ/関東地区。以下同)を記録し、今年6回目を迎えた特番で歴代最高の数字を叩き出した。辻希美と加護亜依のユニット『W(ダブルユー)』が13年ぶりに復活し、嵐やKing & Prince、森高千里などがメドレーを披露。歌手の個の力で興味を引き寄せたのは間違いないが、それに加え、製作陣が細やかな配慮で視聴者を飽きさせなかった点も大きい。『テレ東音楽祭』の魅力は、情報量の多さにある。他局の音楽特番も最近は、映像の日付を記載し、当時のテロップを消さずに載せるようにしているが、『テレ東音楽祭』は以前からその2つを遂行し続けている。できる限り、あの頃のまま“正直に”オンエアしている。 今回も、辻と加護のモーニング娘。のオーディション風景を振り返る『ASAYAN』のVTRを当時の川平慈英の〈ASAYANクッ~~〉というナレーションから始めた。わずか3秒の挿入だが、この配慮が視聴者に懐かしさを感じさせる。 19歳の広末涼子の映像ではワイプで映る篠原ともえや後藤真希、矢口真里、保田圭もそのままオンエア。あの頃の情景を甦らせた。 昨年に引き続き、酒井法子の歌唱シーンでは〈ナレーター 田代まさし〉の文字とともにマーシーの声が流れるVTRを使用。『夢冒険』などの歌詞は消さずに当時のまま使う一方で、〈ナレーター 田代まさし〉の文字は今回のために加えたと推察できる。 なぜなら、過去映像と比べると、字のフォントや濃さが異なり、〈当時16歳〉という編集で加えた文字と同じように見えるからだ。このような細かい芸も視聴者を離さない要因だろう。 酒井の場面では、〈1987年10月18日放送『歌え!アイドルどーむ』〉というテロップを見て、司会のTOKIO国分太一は「『歌え!アイドルどーむ』って、俺出たことあるなあ」と呟いた。情報が記憶を甦らせ、視聴者にもう1つの情報を与えたのだ。 ナレーションでも、当時の空気を再現しようという正直な姿勢が窺えた。スタジオ歌唱の吉田栄作を紹介する際には〈織田裕二さん、加勢大周さんと並んでトレンディ俳優の平成御三家の1人〉と鷲見玲奈アナが読み上げた。芸能界を引退した加勢大周の名前をテレビで久しぶりに聞いたように感じる。 他局に比べて過去映像が少ないデメリットは、工夫で補った。1980年代から1990年代に掛けてのヒットドラマを振り返るコーナーで、田原俊彦の『抱きしめてTONIGHT』(1989年1月22日放送『歌え!ヒット・ヒット』)が流れた。 この映像は、直近1年のテレ東の音楽特番でおそらく3回目のオンエア(※1)である。私の調査によれば、田原俊彦のテレ東出演は1988年2本(※2)、1989年3本(※3)であり、きっと『抱きしめてTONIGHT』の映像はこの1本しかない。【※1:他の2つは、2018年9月30日『3秒聴けば誰でもわかる名曲ベスト100』と2019年2月24日『平成ヒットソングス!~次の年号に持っていきたい名曲SP~』。※2:1月17日『歌え!アイドルどーむ』、12月25日『歌え!ヒット・ヒット』。※3:1月22日、29日、2月5日『歌え!ヒット・ヒット』】 同じ映像の使用を避けられない分、同曲が主題歌のドラマ『教師びんびん物語』(フジテレビ系)の1シーンを挟み、マンネリにならないようにしたのだろう。 番組では、KARAの元メンバーであるHARAが『ミスター』を披露している途中に衣装が下がってしまい、下着が露出してしまった。歌唱後、このアクシデントについてスルーせず、司会の国分がHARAにも話を振った。形式的な説明だけで終わってもおかしくない場面で、きちんと言及した。 数々の細かな積み重ねが歴代最高視聴率を生んだのではないか。 ただ、“正直さ”を通してきた番組の中で、1つ気になる点があった。新聞のテレビ欄で〈“嵐がテレ東初登場”22年前ジュニア時代の貴重映像は夜9時過ぎ〉と謳っていたが、貴重映像も嵐の出演も21時55分頃だった。21時35分、CMに入る前に〈このあと 嵐のスーパーメドレー!〉と振ったものの、登場は約20分後だった。 せっかく、お宝映像やナレーションで“正直さ”を売りにしてきたのに、過度な引っ張りは視聴者をシラケさせたのではないか。 番組の瞬間最高視聴率は午後9時9分、10分と2度記録した12.6%で、バブルガム・ブラザーズ『WON’T BE LONG』の歌唱時だったと報道されている。2人のパフォーマンスに魅せられての結果だと思うが、事前告知で嵐が〈夜9時過ぎ〉に登場すると読めるため、一定数の視聴者が「もうそろそろかな……」とこの時間帯にチャンネルを合わせた可能性も否定できないだろう。 局の知名度や人気が上がれば、今までは出なかったタレントをブッキングできるようになり、高視聴率が期待される。裏を返せば、それは他局と似たような番組構成になる危険性を孕んでいる。『テレ東音楽祭』の“正直路線”は来年以降、どうなるか──。●文/岡野誠:ライター・芸能研究家。研究分野は松木安太郎、生島ヒロシなど。著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)の3刷が決定。同書では1982年、1988年の田原俊彦ほぼ全出演番組を内容や視聴率、テレビ欄の文言などと記載。巻末資料も充実している。
2019.06.28 16:00
NEWSポストセブン
今はなき平成の人気スポット タレントショップ、ザウスなど
今はなき平成の人気スポット タレントショップ、ザウスなど
 あと3か月あまりで平成の歴史に幕が下りる──。平成の30年間ですっかり消えてしまったバブルの風景といえば、ディスコもそのひとつ。ワンレン・ボディコン姿で「ジュリ扇」と呼ばれる羽根扇子を手に踊る女性たち。バブルの景気を体現していた。 ディスコばかりではない。平成初期に乱立していたのがタレントショップ。『元気が出るハウス』『北野印度会社』(いずれもビートたけし)、『バレンタインハウス』(とんねるず)などの有名店があった。また、タレントショップの聖地・原宿には田代まさしの『MARCY’S』などもあり、若者が行列をつくっていた。「あの頃はタレントの顔イラスト入りトレーナーをよく着ていた。何度か洗濯するとプリントがはげちゃって、あんまり長持ちしなかった(笑い)」(47歳・自営業)「赤プリ」の通称でクリスマスイブに宿泊するのがステータスだった赤坂プリンスホテルもバブルの象徴だった。「必死でクリスマスイブの赤プリを予約しようとしたけどダメでした。当時は“どこのホテルを取るか”で女性が本気度を確認してくる時代。“カップルたちのHで当日の赤プリは震度3を観測する”なんてジョークもあった」(55歳・会社員) ちなみに、赤プリは丹下健三氏によるデザイン。2011年3月に閉鎖し、現在は東京ガーデンテラス紀尾井町が建つ。 また、当時は空前のスキーブームで、千葉県・船橋市には480mの巨大屋内スキー場「ザウス」もあった。真夏でも-2℃に保たれ、サラサラの人工雪で真冬気分を味わえた。年間20億円の赤字を出し、2002年に閉館した。※週刊ポスト2019年2月8日号
2019.02.02 16:00
週刊ポスト
田代まさし「10年ぶりのバラエティ」がめちゃくちゃ面白かった
田代まさし「10年ぶりのバラエティ」がめちゃくちゃ面白かった
 11月20日、久しぶりに『志村けんのバカ殿様』(フジテレビ系)が放送された。殿と家来、腰元たちによるコントで知られているが、1986年から2001年まで、殿にツッコミを入れる側用人として田代まさしが出演、人気者だった。姿が消えたのは、度重なる逮捕と懲役によって元タレントとなったからだが、今回のバカ殿様放送より少し前、十年ぶりにバラエティ番組出演を果たしていた。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、田代がゲスト出演したスピードワゴン司会の『The NIGHT』(Abema TV)の挑戦と意義について考えた。 * * * 2016年に開局したAbemaTV。生まれては消えていく同局の番組のなかで、開局当初から一定の人気を保っているのが『The NIGHT』だ。月曜日~土曜日の深夜1:00~3:00に配信されるトーク番組。曜日ごとにパーソナリティーが変わる形態、AbemaTV版『オールナイトニッポン』と例えていいだろう。自由な番組作りが魅力、トークが脱線しても面白かったらオーケー、と生放送の即興性が発揮される。 そんな『The NIGHT』、月曜日を担当するのがスピードワゴンの2人(井戸田潤、小沢一敬)。お笑い、裏社会、怖い話、エロ、少し危険なネタ扱うゲストを呼び番組を盛り上げる。しかし、10月30日に配信された『The NIGHT』は“少し”じゃなくて“かなり”だった。どれほどかといえば、生放送をやめて収録にするくらいにデンジャー。 そんな厳戒態勢のなかで組まれた特集が「1周回って知らないマーシー」。ゲストに田代まさし本人を招き、波乱万丈な半生を紐解いた。最近、覚せい剤のご意見番としてニュースでコメントする機会も多いマーシー。しかし、バラエティ番組への出演は10年ぶりとのこと。これがめちゃくちゃ面白かった、私的ギャラクシー賞をあげたいくらい。 1980年にドゥーワップグループ「シャネルズ」でデビュー、デビューシングル『ランナウェイ』が110万枚の大ヒット。その後、志村けんにお笑いセンスを見出されコメディアンとしても活躍。これが田代のすごくざっくりとした略歴。 歌手時代の記憶はないが、『志村けんのバカ殿様』に出演していたことは覚えている。バカ殿・志村にツッコむ側用人・田代。当時小学生だった僕は天才2人のやりとりが好きだった。過去のバラエティ番組を見返す環境は誰もが持っているハズ。見たことがない方は、往年の『志村けんのバカ殿様』をチェックして欲しい、超楽しいから。 事件前の田代は、評価が確立した人気者だった。現在のタレントで例えるならば、劇団ひとりクラスかなぁ……。司会力、トーク力、演技力と芸能人に求められる能力を全て持っていた。だから、今では本人曰く「日本一有名な元覚せい剤中毒者」。変な言い草になるが、一時代を築いたから“覚せい剤の象徴”になっちゃったマーシー。つまりタダ者ではない、尊敬できないがバカにもできない。山といえば川!田代といえば覚せい剤!いや、田代といえば盗撮! 2000年、田代は駅構内で女性を盗撮したとして書類送検された。全てはここからはじまり、はじまり。覚せい剤を常用しおかしくなった結果、盗撮に至ったと考えている人は多い。僕もそうだった。しかし、本人曰く順番は逆。 田代は複雑な家庭で育ち、地の性格は暗いという。人と話すことも得意ではなく、緊張しいなのでサングラスも愛用している。しかし、才能を見出され若くしてスター街道を驀進。テレビに映るマーシーはいい意味でキマっていた。業界での評価も高く、ついたあだ名は“小道具の天才”。 本質とかけ離れている偶像、キャラクターの修正を長年続けることはしんどい。だが、視聴者にとって偽りの部分こそが魅力的に映る。ヤンチャながらインテリジェンスも感じる芸風、影をひた隠す努力に光を見出す。ただ当人にとっては重荷でしかない。ついにはノイローゼに陥り、盗撮に走った。隠しておかなければならない性癖が歯車を狂わせる。 その後の会見で、テレビリポーターに盗撮した理由を聞かれた田代は「『ミニにタコができる』というタイトルのギャグ映像を作ろうとしてた」と返答。これが伝説に……。 番組では盗撮は事実と認めつつ、「ミニにタコ」発言は自分発信じゃないと弁明。謝罪しようとする田代に当時の事務所社長とフジテレビのスタッフが「ギャグで逃げちゃおうよ」とアドバイス。「マーシーっぽくいこうよ!」と迫られた結果、生まれたダジャレだったと話す。 ここまではギリセーフ、芸能活動を継続。謹慎期間を終えたのち田代は徐々に復帰。しかし、心の健康が回復するはずはない。テレビ局でぐったりと休憩していると「元気ないっすね、田代さん。元気になるのありますよ」と知人のアシスタントプロデューサー。これがマーシーと覚せい剤の出会いだった。 ここからはライク・ア・ローリング・ストーン状態、あっちゅうまに芸能人からドラッグ中毒者へ。5回の逮捕、計7年を刑務所で暮らした。そして現在、田代は民間の薬物依存リハビリ施設「ダルク」のスタッフに収まっている。 淡々と書いてしまったが、番組中の端々で光った田代の“小道具”。井戸田がフリップを出すたび、服に仕込んだクリップを机に投げる。小沢が危険な発言をすると、胸ポケットからイエローカード。マーシーの芸はさびていなかった。時折、田代は儚げに「志村さんにお前はツッコミのリズムが良いと褒められたなぁ」と言葉をもらす。すると「天性のツッコミの間を持っていんたんですね!」とスピードワゴン。 番組で井戸田と小沢はフラットに田代と接していた。これはなかなか難しいことだと思う。デリケートなマーシー案件、2人の舵取りがなければ、番組はここまで冴えなかった。 田代により興味が湧いたので、他の動画をチェック。そこで発見したのが、覚せい剤についての語る講演の動画。「やったことない人は覚せい剤の怖さがピンとこないと思う。そこで1番オレらしい答えが浮かんだ。1回やってみ、マーシーがなんでやめられなかったか分かるから。ただし、オレみたいになりますよ……」 この一幕、どんな覚せい剤の体験談よりもゾッとした。 あれほど巧みな話術で覚せい剤の恐ろしさを説ける人はいない。ワイドショーで発せられる「覚せい剤やめますか? それとも人間やめますか?」といったコメント。有識者は覚せい剤未経験者、これでは伝わらない。 餅は餅屋、『まさし田代のシャブの話』は常套句ではなく体験談で覚せい剤を説く。何本もCMに出演していた人気者だったマーシーは覚せい剤で全てを失った。仕事、実績、お金、家族、恩人、健康、それでも未だに「目の前にあったら、やっちゃうかも」と話す。恐ろしいほどに魅力的、それだけに破滅的な覚せい剤。栄光と挫折を経験したマーシーはメディアでそのことを伝え続けなくてはならないと思う。
2018.11.24 07:00
NEWSポストセブン
話題沸騰『テレ東音楽祭』は何が凄かったのか?
話題沸騰『テレ東音楽祭』は何が凄かったのか?
 後藤真希などが集結したモーニング娘。OG、今年限りでのグループ脱退とジャニーズ事務所退社を発表した渋谷すばるの所属する関ジャニ∞がヒットメドレーを披露し、TRFやT-BOLAN、AKB48、乃木坂46、倖田來未など豪華アーティストが出演した6月27日放送の『テレ東音楽祭』(テレビ東京系)は視聴率8.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区。以下同)を獲得。昨年の8.4%(ともに19時以降)を上回り、ほぼ同時間帯のTBS『新どうぶつ奇想天外』3時間スペシャルの7.3%、『林修のニッポンドリル』4時間スペシャルの8.5%も上回る数字を残した。ネット上でも番組開始直後から同番組に関するツイートが急増するなど、大きな反響を呼んでいた。 視聴率研究家で、著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)の中でジャニーズ事務所の歴史や『ザ・ベストテン』(TBS系)などの音楽番組についても詳細に言及している岡野誠氏は、今回の『テレ東音楽祭』についてこう分析する。「“事実から逃げない姿勢”と“細部にこだわる演出”が、視聴者の心を掴んだと思います。まず、番組の1曲目にSMAPの『俺たちに明日はある』を選択したところに、意気込みを感じました」(以下「」内、岡野氏) ジャニーズ事務所のTOKIO国分太一が司会を務め、V6やKinKi Kids、KAT-TUN、関ジャニ∞、Hey! Say! JUMP、A.B.C-Z、ジャニーズWEST、King & Princeという8組のジャニーズグループが出演。その中で、1曲目となる「ジャニーズ名曲SPメドレー」では、A.B.C-Zが一昨年に解散したSMAPの『俺たちに明日はある』を歌唱。その後も、事務所を退所したメンバーのいる光GENJIや男闘呼組、SMAP、そして田原俊彦の懐かし映像も流れた。 そして、国分や城島茂、V6などのデビュー前、松田聖子や中森明菜、河合奈保子、柏原芳恵などの女性アイドル、さらにはTRF・SAMのアイドルグループ『Riff Raff』時代のダンスシーンも放送。『お宝秘蔵映像』の触れ込みに偽りはなかったと言えるだろう。「日本テレビやTBS、フジテレビの音楽特番は昔からありますし、他の番組も含めて、同じ『秘蔵映像』を何回もオンエアしている場合もある。そのため、リアルタイムではない世代でも、何度も見たことのある映像になるという不思議な現象が起こっています。『テレ東音楽祭』は2014年から始まった上に、テレ東は他の番組でもあまり過去映像を特集しない。だから、本当の意味での『お宝秘蔵映像』になのでしょう。特に、今回特集された1980年代や90年代のアイドルはデビュー間もない頃に必ずと言っていいほどテレ東に出ていますからね」 近年地上波テレビへの出演がない酒井法子のデビュー1年目の貴重なVTRも放送。当時のまま使用したため、〈ナレーション・田代まさし〉というテロップとともにマーシーの声が流れ、ネットは騒然となった。「過去の映像を流す場合、他局だとほとんど当時のテロップを消します。しかし、『テレ東音楽祭』は最小限に留め、かなりの部分は歌詞も含めて当時のままオンエアした。当時の映像は当時のまま見たいという視聴者の欲求に答えたと言えるでしょう。 別に〈ナレーション・田代まさし〉というテロップを消しても、酒井法子の映像を使わなくても、番組は成立する。でも、視聴者は細部を見て“勝負しているかどうか”を判断している」 他にも、可能な限り当時を再現する制作姿勢が垣間見えたという。「デビュー前のシブがき隊がイモ欽トリオの『ハイスクールララバイ』を歌っている場面を流す時、『シブがき隊』ではなく『シブがきトリオ』と当時の表記で伝えていた。こういう細部にこだわると、『この番組はわかっている!』とファンは納得する。 また、〈平成元年~30年「スーパーヒット曲」一挙公開!〉と題して、平成30年間のヒット曲をVTRで振り返る企画がありました。1990年から2005年までのヒット曲には売り上げ枚数を表示していましたが、2006年からは出さなくなった。その前にナレーションで『CDが売れなくなって、ダウンロード時代に突入。2006年からご覧下さい』と伝えている。こういう細かい配慮は、視聴者に『逃げてない』という印象を与えます」 新聞のテレビ欄には、〈松田聖子 中森明菜 SMAP 中山美穂 福山雅治 森高千里 少年隊 光GENJI Xジャパン 安全地帯 荻野目洋子 酒井法子 GLAY 浜崎あゆみ〉という歌手名の表記が上段に並んだ。「これも秀逸でした。テレビ欄の並びを見ただけで、視聴者はワクワクする。彼らは生歌唱したのではなく、過去VTRがオンエアされただけですが、実際に番組には出てくる。これは嘘をついているわけではない。細部にこだわった絶妙な並べ方です」『テレ東音楽祭』が大きな話題を呼んだ背景には、こうした制作陣の細やかな配慮を視聴者が感じ取ったからなのかもしれない。
2018.06.29 07:00
NEWSポストセブン
「異常に強い朝青龍」が紅白より大晦日にふさわしかった理由
「異常に強い朝青龍」が紅白より大晦日にふさわしかった理由
 AbemaTVによる大晦日の特別番組『朝青龍を押し出したら1000万円』は、取組が始まる前に視聴数が100万を超え、最後の挑戦者である元琴光喜の取組が始まる頃には500万を超えた。番組が終了したときには、元大関琴光喜との取組に感激したとの意見がネットでは多く見られていた。この特番の最初から最後まで、4時間45分見続けたイラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、番組としての完成度について振り返った。 * * * 大晦日、テレビ局は各々力を込めた特別番組を放送する。そのとき、インターネットテレビの盟主AbemaTVでは『朝青龍を押し出したら1000万円』を配信していた。 力自慢の挑戦者が朝青龍と相撲、勝てば1000万をゲット。説明するまでもないが、タイトル通りの内容である。 12月31日20時00分から1月1日00時45分まで。4時間45分の長丁場。“朝青龍が7年ぶりに取組”ここだけを見れば、素晴らしい番組だ。しかし、ネックとなったのは放送時間の異常な長さ。ここがキツくて仕方ない。 朝青龍への挑戦したのは、琴光喜(元大関)、ボブ・サップ(格闘家)、泉浩(柔道銀メダリスト)のVIPチャレンジャー3人。そして、一般応募から選ばれた5人の計8人の猛者達。 挑戦者は8人、書かずもがな朝青龍は番組内で8回相撲を取る。取組は短ければ一瞬、長くて1分ほど。挑戦者がいくら粘っても、相撲シーンの取れ高はマックス8分だ。 最大の見どころ“朝青龍の取組”は8分以下、比べて長すぎるのが4時間45分の放送時間。 単純計算してみよう、4時間45分-8分=4時間37分「4時間37分間の空き時間、なにをやりたいんだ!」とツッコミたくなる番組であった。 格闘技の放送には、試合で戦う人間を紹介する“煽りVTR”がつき物。視聴者は、そこで格闘家の強さや戦う理由を学ぶ。事前情報を入れることで、応援にも気持ちがこもる。 2000年頃、日本格闘技シーンを席巻した『PRIDE』。圧倒的な支持を得た理由の1つが、試合を盛り上げる“煽りVTR”の秀逸さ。 格闘技番組は、試合をやっていない時間に、視聴者を飽きさせないことが重要。よって、“煽りVTR”が大事になってくる。『朝青龍を押し出したら1000万円』は、良い意味でも悪い意味でも真っ向勝負。朝青龍と挑戦者以外のコンテンツは用意していない。幕間のコントといった、お笑い要素も一切ない。 ゆえに、相撲以外の4時間37分間は“煽りVTR”を流し続けるハメに……。 視聴者からすれば、史上最も長く“煽りVTR”を見続ける番組。 番組制作側からすれば、史上最も長く“煽りVTR”で視聴者の興味を持続させる番組。 2つの意味でミッションインポッシブル! 不可能な任務! どんな朝青龍のファンでも見続けるのは難儀だろう。どんな名監督でも4時間37分間の飽きない“煽りVTR”を作ることは不可能だ。 更に、事前番組から見ていた僕のような人間にはすでに知った情報。「ミニにタコ by田代まさし」できるほどに再放送、見続けることは苦行に近い。 取組後の朝青龍の休憩などを考えれば、仕方ない構成だと分かる。 だけど、視聴者にガマンを求め過ぎだって! 番組で唯一満足できたのは、朝青龍の異常な強さ。 現在は、モンゴルで自らの銀行を持つほどに財界人な元横綱。現役時代の筋骨隆々の肉体美は、当然失っている。 1人目のチャレンジャー、元フランス外国人部隊・久保昌弘は「現役の時の朝青龍見ているので、もっとすごいの想像していました」と本人を眼前にイキった。 しかし、取組では瞬殺。身体を持ち上げられ、土俵に叩き落とされた。 個人的に、久保昌弘に対する期待値は高かったのでショックを受ける。相撲とは力自慢ではなくテクニック、相撲経験者以外は勝ち目がない。そんなことが一目で理解できる実力差。 それ以降、6人続いた挑戦者。誰一人として、朝青龍とまともに組み合うこともできない。圧倒的な力の差を見せつけられ、身体を土で汚すばかり。 肉体は変わったが、現役時代から変わらないのが「朝青龍らしい」独特のふてぶてしさ。横綱の品格からは程遠い、モンゴルのやんちゃ坊主感はキープ。 ある挑戦者の攻撃が目に直撃しブチギレ。取組後、腫れた自身目の写真とともに「目にパンチくらわしやがって 火が付いた!!」とツイート。 最後の第8戦の対戦相手は、プロ野球賭博問題で相撲界を去った琴光喜。朝青龍と同様に、自らの意思ではなく力士を引退した男だ。「土俵に残してきたモノはある」と語る両人。がっぷり四つを組み合う姿は、確かにドラマチック。 今まで見ていたのは“相撲のようなもの”だったと確信させる取組内容。4時間以上”煽りVTR”を見続けたゆえ、感動もひとしお。「違う!」正直に書こう。「感動した!」とでも思わなければ、やってられない番組であった。「紅白見れば良かった」と自らを攻めたくなる出来だったんだ、正直。 長時間の“煽りVTR”を見続け「久保昌弘は牧場勤務」「琴光喜が今焼肉店を営んでいる」「泉浩が週6日、魚市場で働いている」といった情報を得る。 自分にツッコミたくなる「そんなこと知ってどーすんの?」 結果、琴光喜戦の頃合いには“煽りVTR”で情報酔い。飲んでもいないのにヘロヘロに疲れていた。 再度書く、本質である“朝青龍の取組”は素晴らしい。しかし、過度な情報を与え続ける“煽りVTR”が長過ぎる。 放送終了後、録画していた紅白を見て意外なコトに気づく。「やっぱり、朝青龍を見ていて良かった!」 美男美女が戯れる派手なお祭り騒ぎを目にし、自分自身の人生を悲観してしまった。「芸能人はいいなぁ、楽しそうで、比べて僕は……」と。 比べて『朝青龍を押し出したら1000万円』は、悲しくならないだけまだマシ。それこそ、皆心に傷を持つ者ばかりが集まる、僕たち敗者達の宴。 男たちの無念を朝青龍は、がっぷり四つで受け容れてたんだなぁと気がついた新年であった。 ※本コラムはイーグルスの「デスペラード」を聞きながら読むと10倍楽しめます。
2018.01.03 16:00
NEWSポストセブン

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