『サ道』作者・タナカカツキ氏が課題視するサウナ施設の現在とは
2000年代前半から始まったとされる昨今のサウナブーム。2025年になった今、一時期ほどの過熱ぶりはひと段落したようにも見えるが、その熱はいまだ広がり続けている。厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、公衆浴場の軒数は全体的に減少してはいるものの、サウナ施設やスーパー銭湯など、“銭湯以外”の公衆浴場は緩やかに増加している。
昨今のサウナブームを盛り上げてきた、「ととのった〜!」のセリフで知られる『マンガ サ道』。作者のタナカカツキ氏は、公益社団法人日本サウナ・スパ協会が認定する日本唯一の「サウナ大使」だ。大使に、ブームが定着した今だからこそ見えてきたサウナの現在地、そしてこれからについて伺った。【前後編の後編。前編を読む】
サウナはブーム終わった?
『サ道』がドラマ化された2019年以降、ドラマで舞台となったサウナをはじめ、人気施設の大混雑がたびたび話題となった。入場制限を行う施設が増え、サウナ室の前では裸の行列ができるような事態に……。ドラマ『サ道』で主人公らが行きつけにしていた上野の『サウナ&カプセルホテル北欧』は混雑時間帯の完全予約制を導入した。
「いまだにサウナブームって言われるけど、私は違うと思うんです。例えば、今日本では20人に1人がヨガをやっているそうですよ。本当にたくさんの人がやっているけど、今はヨガブームって言わないでしょう。それってヨガが日常のなかで定番になってきたから。サウナも定番になってきたということなんじゃないかと思います」
一方で、前述のような施設の混雑については、タナカ氏も課題感があるという。
「サウナ室の前で裸の行列ができるとか、空いているところはやたら高級で、お金ありきの楽しみみたいになってしまっているのは大問題です。サウナ施設は今どんどん増えているけど、まだまだ足りない。
私は、サウナを“インフラ”として整備してもいいんじゃないかと考えているんです。情報化社会でデジタルデトックスなど、メンタルケアの重要性が高まってきていますよね。それがすぐにできるサウナに、国が政策として向き合って、施設そのものをどんどん増やしていく必要があるんじゃないかなとわりと本気で思っています」