「気持ちいい」「リラックスできる場所」へと変化を遂げているサウナ
「スペックバブル」なサウナの未来
かつてのサウナに比べると、世の中のニーズに合わせ、サウナ室や水風呂の温度、充実した館内設備に恵まれた施設が増えた。昨今はサウナの「スペックバブル」な時代でもある、とタナカ氏は話す。そんな時代だからこそ、スペックの競争が終わり、次は「人」に注目が集まるのでは、と予想しているそうだ。
「2014年、ヨーロッパを訪れて、さまざまなサウナ文化に触れました。バルト三国にある湖畔の小屋のサウナや、ドイツの巨大な遊園地みたいなサウナにも行きましたよ。後者は『東京ディズニーシー』くらいの広さで、サウナが35種類もあるんです。ヨーロッパでは、若い人たちや女性にもサウナが大人気なんですね。健康意識が高いのかもしれません。
今って、いろいろ自分で決めないといけない時代じゃないですか。少なくともサウナの中では決めなければいけない悩みから解放されたいと思うんですよ。体のことって、わかっているようで自覚できていないことがたくさんありますよね。
たとえばサウナに入る前に『最近どうですか? 眠れてますか』なんて会話をして、それから顔色などもみて、その人に合ったプログラムを考えてくれる。そういう、個別にサウナ体験を最適化してくれるようなサービスが、より価値を持つ時代がくると思っています」
そうしたなかタナカ氏が総合プロデュースしてきたのは「渋谷SAUNAS(サウナス)」だ。次は2025年12月に「高輪SAUNAS(サウナス)」をオープンさせる。同施設は、そうしたサウナ室内でのプログラムに特化するという。
「もう“どんなサウナ室を作ろう?”という発想はもうやめたんです。今、重要視しているのは“どんなプログラムをやるのか”ということ。『こう動くからここにバケツを置く』『水を撒くから床はこの素材』といったように、プログラムのオペレーションありきの設計を意識しています」
サウナは一時的なブームではなく、生活に根付き、ゆくゆくはインフラとして整備されるべき、とまで将来の“あるべき姿”について語ったタナカ氏。これからプロデュースする施設は、温浴業界に新風をもたらす革新的なサウナになりそうだ。
(了。前編を読む)