矢野燿大監督(左)と佐藤輝明(2020年の入団会見)
佐藤のこれまでの野球人生は、こうした“縁”に恵まれている。
甲子園のお膝元である兵庫県西宮市に生まれたが、地元・仁川学院高では甲子園出場経験はない。3年夏は兵庫大会初戦でコールド負けしている。
「高校時代は全く無名の選手でした。仁川学院高の元監督・馬場弘之さんがたまたま知り合いで、“見てほしい選手がいる”と言われたのが縁で、佐藤と出会いました」
そう話すのは、佐藤の進学当時の近大野球部監督・田中秀昌氏である。
「連絡があったのは佐藤が高3だった年の5月。もうスポーツ推薦はほぼ埋まっている時期でしたが、見てみようとなって、佐藤がやってきたのは6月のことでした」
雨の降る日、室内練習場で佐藤を初めて見た時のことを田中氏は今でも鮮明に覚えているという。まだ線が細い高校生のフリーバッティングをひと振り見て、確信した。
この子は将来、絶対にプロやな──。
(後編につづく)
※週刊ポスト2025年9月12日号