佐藤輝明
DeNAが怖い
阪神は10月2日が最終戦の予定で、15日のCSファイナルステージまで約2週間も実戦から遠ざかることになる。リーグ優勝しながらCSで敗退した経験がある元コーチはこう言う。
「優勝チームは調整期間が長すぎて本番にピークを持っていくのが難しい。特に今年の阪神は優勝決定後に1か月以上も真剣勝負から離れ、その間に2位・3位争いやCSのファーストステージで真剣勝負を続けたチームと戦わなくてはならない。優勝チームもミニキャンプを張るなど工夫をするが、真剣勝負とは違うし、リーグ優勝のお祝いムードで選手が飲みに行くのも止めづらい。特に打者は、一軍の生きた球を打っていないと調子が保てないから難しいんです」
今季の阪神打線は主砲・佐藤輝明の“覚醒”が印象に残るが、その佐藤も8月は中旬にノーアーチが続き月間打率が2割台前半となるなど好不調の波が大きいだけに、懸念は拭えない。
一方で、今季の阪神は抜群の安定感を誇る投手陣こそが強みとなった。投手力がモノを言う短期決戦ではプラス材料のはずだが、阪神の大物OBからは「先発の枚数が豊富ならいいという話ではない」と不安視する声があがる。元阪神監督の藤田平氏はこう指摘する。
「短期決戦はわからへんよ。阪神の投手陣は揃っているけど、CSは先発が3枚いれば勝負になる。特にDeNAは昨年の経験もあるし、先発は阪神キラーのケイと最多勝候補の東克樹の左2枚に、右のジャクソンも計算が立つ。投手戦は一発が勝負を決めるから、本塁打数リーグ1位で筒香(嘉智)やオースティンがいるのも怖い」
昨年、ペナントを制した巨人では主軸の吉川尚輝がCS前に負傷離脱したマイナスが大きかった。
「今季の阪神はケガ人をほとんど出さずにペナントを戦ってきたが、その疲れが出る時期でもあるから心配だ」と藤田氏は語り、実際に13日の巨人戦では1番打者としてチームを引っ張ってきた近本光司が左腕に死球を受け、翌日からベンチ外に。影響が懸念されている。
「これだけの差をつけて優勝すると、“もう一回やらなあかんのか”という気持ちが出てきてしまうもの。そこからテンションを戻すのも容易なことではない」(藤田氏)