近本光司
弱いチームには“罰”を!
元中日のエースで、1998年に監督として横浜を日本一に導いた権藤博氏は「こうなったらCSをやる意味はないでしょう」と断じる。
「阪神が独走で優勝しましたが、ペナントレースはマラソンみたいなもので、力があるチームが勝つ。一方のCSはマラソンで優勝した後に隣の競技場に場所を移して、2位や3位と短距離走で勝負するようなもの。こうなれば投手陣が揃っているどうこうの話ではなくなる。2位や3位のチームは開き直れるし、特に勝率が5割を切るようなチームに怖いものはない。
経営サイドはV逸の責任が曖昧になったりして都合がいいのでしょう。だからCSはなくならないと思いますが、こんな制度を作って恥ずかしくないのかと言いたい」
CS導入には、終盤の消化試合をなくしたい意図もある。前出・中畑氏は「CSの興行としての価値は認めるけどね……」としながらこうも言う。
「ここまで阪神に独走を許してしまった以上、新しい基準を議論してもいいでしょう。勝率5割に満たないチームが戦うCSなんて想像できない。ゲーム差に応じてアドバンテージを変えるとか、借金を抱えたチームの下剋上は認めないとか、改革が必要じゃないか。ペナントで弱かったチームへの“罰”を考えないと」
藤川監督は「絶対やったほうがいい」と自信満々だったが、レジェンドOBが揃って改革を訴えるのは、独走チームのCS敗退にそれだけ現実味があるからだ。藤川監督はCSについて、「ファンの方が一番喜べる機会を作り出すのがめちゃくちゃ大事」とも語ったが、シーズンが終わった時、喜んでいるのが阪神ファンとは限らないのだ。
※週刊ポスト2025年10月3日号