芸能

高田文夫氏が語る“内角をギリギリえぐってくる選曲” 横山剣『昭和歌謡イイネ!』に掲載された名曲『夜の訪問者』『ライダー・ブルース』の思い出

横山剣の『昭和歌謡イイネ!』(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、極私的歌謡史について。

 * * *
 ビリー・バンバンのお兄ちゃん(享年81)が他界。柄になく切ない。大学出て22歳でこの芸能マスコミに入り、いきなり師から「明日野球の試合だ、高田いけるか」。師は日劇の演出家にして『夜のヒットスタジオ』の企画構成でバカ当たり中の塚田茂。神宮の草野球場へ行くと相手はビリー・バンバンチームだった。

 業界に入って初めて見た芸能人がビリバン。『白いブランコ』で大ブレーク中の兄弟デュオ。その前はここにせんだみつおがいたときく。私は小さく『白いブランク』と呼んでいた。私は兄の投げる球をライト前へ。いやぁドキドキした。その後取材等で何度も会うようになり自宅に呼ばれてゴハンを食べさせてももらった。大好きなこの曲でお別れ『さよならをするために』。

 最早オールドメディアでオールドライフを送る団塊の世代にとって心地良いのはオールディーズ。ビリバンチックな毎日を送る私に嬉しい本が出た。横山剣の『昭和歌謡イイネ!』。当誌で大好評連載していたものを担当のN里が珍しく努力して一冊にしたもの。「早く連載も再開して第2弾をすぐ作れよ」と口をすっぱくして言っているのだが。何しろ片寄った極私的120曲である。選曲のチョイスが内角をギリギリえぐってくる。

 北島三郎やタイガースを取りあげるのは普通だが、どんな歌謡史の本にも出てこないような荒れ球も投げてくる。何しろ曲に歌手に想い出にキチンとみんな色濃くかかわっているから面白い。納得の選曲。

 例をあげると『夜の訪問者』小川順子(1975年)。誰が覚えてるんだ? この曲の頃、私は日芸の同級生フジTVのWと『スターどっきり(秘)報告』を当てていた。Wは麻丘めぐみにどっきりを仕掛けそのまま結婚へ。私の家(西新宿)の近くに住んだ。私は仕事が終わるとこの新婚の部屋へ行きいつも一杯飲んだ。「誰か友達呼べよ」というとめぐみちゃんは仲良しの小川順子を呼んだ。明るくていい子だった。その数年後引退。有名なお医者様と結婚。私にとってはそのまま「夜の訪問者」だった。

 私がなつかしい人間のことまで書いてあってマニアックで嬉しい。ディスコ歌謡を広めた伝説すぎるトリオ。『ライダー・ブルース』のクック・ニック&チャッキー(1970年)。我々世代の東京の不良ならみな知ってる。新宿のディスコ“ジ・アザー”の従業員であの“ソウルブラザーズ”である。みごとなステップ。

 チャッキー新倉が私の高校の不良同級生。書いてもらって本当に嬉しい。ちなみに私と新倉と同じクラスに話題の『爆弾犯の娘』の爆弾犯がいた。

※週刊ポスト2025年10月17・24日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子に“麻薬取締部ガサ入れ”報道》半同棲していた恋人・アルゼンチン人ダンサーは海外に…“諸事情により帰国が延期” 米倉の仕事キャンセル事情の背景を知りうるキーマン
NEWSポストセブン
第79回国民スポーツ大会の閉会式に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
「なんでこれにしたの?」秋篠宮家・佳子さまの“クッキリ服”にネット上で“心配する声”が強まる【国スポで滋賀県ご訪問】
NEWSポストセブン
広末涼子
《“165km事故”を笑いに》TBSと広末涼子側のやりとりは「大人の手打ち」、お互いに多くの得があったと言える理由
NEWSポストセブン
ガサ入れ報道のあった米倉涼子(時事通信フォト)
【衝撃のガサ入れ報道】米倉涼子が体調不良で味わっていた絶望…突然涙があふれ、時に帯状疱疹も「“夢のかたち”が狭まった」《麻薬取締法違反容疑で家宅捜索情報》
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
《水原一平を追って刑務所へ》違法胴元・ボウヤーが暴露した“大谷マネー26億円の使い道”「大半はギャンブルでスった」「ロールスロイスを買ったりして…」収監中は「日本で売る暴露本を作りたい」
NEWSポストセブン
イギリス人女性2人のスーツケースから合計35kg以上の大麻が見つかり逮捕された(バニスター被告のInstagramより)
《金髪美女コンビがNYからイギリスに大麻35kg密輸》有罪判決後も会員制サイトで過激コンテンツを販売し大炎上、被告らは「私たちの友情は揺るがないわ」
NEWSポストセブン
"殺人グマ”による惨劇が起こってしまった(時事通信フォト)
「頭皮が食われ、頭蓋骨が露出した状態」「遺体のそばで『ウウー』と唸り声」殺人グマが起こした”バラバラ遺体“の惨劇、行政は「”特異な個体”の可能性も視野」《岩手県北上市》
NEWSポストセブン
米スカウトも注目する健大高崎・石垣元気(時事通信フォト)
《メジャー10球団から問い合わせ》最速158キロ右腕の健大高崎・石垣元気、監督が明かす「高卒即メジャー挑戦」の可能性
週刊ポスト
第79回国民スポーツ大会の閉会式に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月8日、撮影/JMPA)
《プリンセスコーデに絶賛の声も》佳子さま、「ハーフアップの髪型×ロイヤルブルー」のワンピでガーリーに アイテムを変えて魅せた着回し術
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さん(写真/AFLO)
《髪をかきあげる真美子さんがチラ見え》“ドジャース夫人会”も気遣う「大谷翔平ファミリーの写真映り込み」、球団は「撮らないで」とピリピリモード
NEWSポストセブン
宮家は5つになる(左から彬子さま、信子さま=時事通信フォト)
三笠宮家「彬子さまが当主」で発生する巨額税金問題 「皇族費が3050万円に増額」「住居費に13億円計上」…“独立しなければ発生しなかった費用”をどう考えるか
週刊ポスト
畠山愛理と鈴木誠也(本人のinstagram/時事通信)
《愛妻・畠山愛理がピッタリと隣に》鈴木誠也がファミリーで訪れた“シカゴの牛角” 居合わせた客が驚いた「庶民派ディナー」の様子
NEWSポストセブン