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《『終幕のロンド』でカンテレ主演ドラマ10作目》ドラマ好きにも浸透「草なぎ剛とカンテレの絆」はどのように育まれたのか 

ドラマ『終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-』主演を務める草なぎ剛

 草なぎ剛主演で話題を呼ぶドラマ『終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-』。草なぎにとってカンテレ制作の主演ドラマは10作目となる。ドラマ好きにとってカンテレと草なぎの良好な関係はつとに知られたところ。両者の絆はどのように育まれたのか。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。 

* * * 

 13日夜、草なぎ剛さん主演ドラマ『終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-』(カンテレ・フジテレビ系、月曜22時~)がスタートしました。 

 同作は、妻を亡くし、シングルファーザーとして生きる遺品整理人・鳥飼樹(草なぎ剛)が遺品に刻まれた“最期の声”に耳を傾け、残された者へのメッセージを解き明かすヒューマン作。第1話では、女性が孤独死した部屋の特殊清掃と遺品整理をする鳥飼の姿が感動を誘いました。 

 特筆すべきは当作が草なぎさんにとってカンテレ制作10作目の主演ドラマであること。 

 1997年の『いいひと。』、2003年の『僕の生きる道』、2004年の『僕と彼女と彼女の生きる道』、2006年の『僕の歩く道』、2012年の『37歳で医者になった僕~研修医純情物語~』、2013年の開局55周年記念ドラマ『神様のベレー帽~手塚治虫のブラック・ジャック創作秘話~』(単発)、2015年の『銭の戦争』、2017年の『嘘の戦争』、2023年の『罠の戦争』、そして2025年の『終幕のロンド』。 

 特に2010年代半ば以降は、連ドラ主演のほとんどがカンテレ制作であり、2017年9月に前所属事務所を退所して以降の連ドラ主演もカンテレ制作のみ。テレビ局と俳優の関係性としては「業界随一の絆」という声も聞こえてきます。 

 29年の歴史を振り返りながら、草なぎさんとカンテレの絆が育まれた過程を掘り下げていきます。 

「演技派」「怒り」イメージ一新の3部作 

 90年代を振り返ると、草なぎさんはSMAPメンバーの中でも「いい人」「親しみやすい人」という印象が強く、それがドラマ『いいひと。』での初主演につながり、「イメージ通り」という称賛を集めました。 

 その後、草なぎさんは『成田離婚』(フジテレビ系、1997年)、『先生知らないの?』(TBS系、1998年)、『TEAM』(フジテレビ系、1999年)、『フードファイト』(日本テレビ系、2000年)、『スタアの恋』(フジテレビ系、2001年)などに主演として出演。ただ、おおむね「いい人」のイメージは変わっていませんでした。 

 そして2003年、俳優・草なぎ剛が「演技派」と言われるきっかけとなった『僕の生きる道』がスタート。草なぎさんは「余命一年」を宣告された教師が残りの人生を悔いなく生きる姿を好演しました。続く2004年の『僕と彼女と彼女の生きる道』では離婚届を突きつけられて一人で子育てに励み、父親の自覚が芽生える銀行員を。2006年の『僕の歩く道』では自閉症の症状を抱えながら前向きに生きる姿で周囲を変えていく男性を演じて、「演技派」の印象を定着させました。 

 この『僕シリーズ』と言われる3部作こそ草なぎさんとカンテレに絆が育まれた根幹と言っていいでしょう。すべてヒューマン作の名手・橋部敦子さんが脚本を担ったほか、最新作の『終幕のロンド』でもチーフ演出を手がける三宅喜重監督が全3作で演出を手がけて草なぎさんの魅力を引き出しました。 

 さらに草なぎさんは2009年の『任侠ヘルパー』(フジテレビ系)、2011年の『冬のサクラ』(TBS系)などでもその演技が称えられ、「数字も評判も得られる主演俳優」という評価を確立。そして2015年、カンテレ制作の『銭の戦争』で再び転機を迎えます。 

 草なぎさんは怒りに震え、復讐に燃えるほか、金に執着する主人公を熱演してこれまでのイメージを一新。高視聴率と高評価を得た一方で、同作は「韓国ドラマのリメイクだけに続編は難しい」と思われましたが、カンテレは2017年にオリジナルの『嘘の戦争』を制作しました。カンテレは前所属事務所を退所後、民放ドラマへの出演が途絶えていた2023年にもオリジナルの『罠の戦争』を制作。長年待望論があった『戦争シリーズ』の3部作を完結させました。 

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