「賞味期限は今から8年以上前。手元に残っているサブレーの中でもっとも古いものです」(高橋さん)

 記録用として開設した「鳥型サブレー大図鑑」だったが、高橋さんの心を突き動かしたのには、もうひとつ理由があった。

「当時、横浜市栄区に『ポンドール洋菓子店』というお店があり、そこに『かるがもサブレ』(商品名)が売られていたんです。ですが、私がそのお店を知った時には、すでに閉店することが決まっていました」

 閉店の理由は、店主の高齢化と後継者不在、クッキーを焼いていた機械の老朽化など。日本の製造業が抱える問題とまさに一致する。

「さらに『かるがもサブレ』が生まれた経緯が、もともと地元の幼稚園の依頼で作って、それを商品化したものだということも知りました。地元に根ざして長年愛されていたお店だったんですよね。そんな園児たちの思いや、そういったどこにでもある日本の風景が少しずつ失われていく寂しさも感じました」

 サブレーひとつにここまでストーリーがあることに感動して、記録として残しておきたいと思いたった高橋さんは、いつしか全国からたくさんの鳥型のお菓子を集めるようになり、開設したサイトに掲載されるその種類はどんどん増えていった。

 ちなみに、その時に購入した「かるがもサブレ」の賞味期限は2017年6月29日。いまだにパッケージに入ったまま、高橋さんのもとで保管しているというからすごい。

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