JR線路で寝ていた子グマが、数時間後には跳ねられてペシャンコになっていた(画像は一部加工しています、住民撮影)
異常に膨らんだ熊の胃袋を切開すると…
熊は18日の昼頃になって、事件現場近くで駆除隊に発見され、射殺される。死骸は札幌農学校(現・北海道大学)に運ばれ、教授の指導のもと学生たちが解剖することになった。
異常に膨らんだ熊の胃を、学生の一人がメスで切り開くと、消化された内容物とともに人間の髪の毛や赤ん坊の両手と頭巾、歯形のついた大人の腕などが流れ出た。
胃の切開を行う前の休憩時間、一部の学生たちはこっそり熊の肉片を切り出して用務員室の炭火で焼いて食べていた。しかし、胃の内容物を見るや急いで解剖室から駆け出し、喉に指を入れて熊の肉を吐き出したという。
なおこの時の胃の内容物はすべてホルマリン漬けにされている。また熊の死骸も剥製にされ、現在も北海道大学付属植物園に保管されている(現在一般公開はされていない)。
事件の翌年に北海道を訪問した明治天皇はこの人喰い熊の剥製を天覧しており、それが報じられることによって、札幌丘珠事件は世に広く知られることになった。
取材・文/早川満
