「死生観に関わる深刻な問題ですよね。」
「ちゃんと弔うところがないと困るだろう」
──岩屋さんの地元でこれまでに亡くなったイスラム教徒は、どう埋葬されていたのでしょうか。
「それについては詳細を把握していません。ただ、イスラム教徒の方が日本で亡くなり、その子孫も日本で暮らしていくとなる場合、ちゃんと弔うところがないと困るだろうとは思います」
──土葬反対派の中には「日本は火葬の国なんだから、火葬が嫌なら自分の国に帰ればいい」という意見もあるようですが。
「人生は、そんな簡単なものじゃないでしょう。この国で頑張ろうと思って、何十年間も日本で働いて死んでいった人に『火葬が嫌なら元の国に帰りなさい』というのは……。
イスラムは教義で火葬が禁じられていると聞いています。死生観に関わる深刻な問題ですよね。共生の方法を探る努力は必要だと思います」
“死んだら終わりではない”──そう語気を強めて、話を締めくくった岩屋氏。他文化共生がますます求められている日本において、土葬問題はどのように帰結するのか。
(了)
取材・文/前島環夏
【プロフィール】前島環夏(まえじま・わかな)/ライター・エディター。Web媒体を中心にインタビューや書籍編集などを行なっている。
