安倍元首相が殺害された銃撃事件で起訴された、山上徹也被告(右・朝日新聞社/時事通信フォト)
安倍晋三元首相が2022年に奈良市で演説中に撃たれ死亡した事件。殺人罪などに問われている山上徹也被告(45)の公判が、奈良地裁で行われている。10月下旬から毎週のように続いていた公判だが、12月4日で被告人質問、証人尋問が終了した。
山上被告ら弁護側は法廷で「母親が旧統一教会にのめりこみ、多額の借金をして家庭が崩壊した」「教団とつながりがあると思った安倍氏を狙った」などと主張。佳境に差し掛かった12月3日の公判では、安倍元首相の妻・昭恵夫人が出廷した。山上被告が語った昭恵夫人への思いとは——。【前後編の後編。前編から読む】
600万円を超える“差し入れ金”の行方
事件後、その場で現行犯逮捕され、そのまま身柄拘束が続いている山上被告。被告人のもとには、600万円を超える現金の差し入れがあるのではと検察側から指摘された。安倍元首相の救命のために発生した治療費の約300万円、建造物損壊事件の損壊費用約100万円の支払いなどは、現時点でされていないという。
検察に返金について聞かれると、山上被告はこう語った。
「弁済原資がない。差し入れはあるが、それらがどんなつもりで送られているかがわからない」
「(自分に関する)報道の中には正確なものもあるし、明らかに違うものもある。(実際の)イメージと違った人間として差し入れられたお金であれば、(差し入れ元に)返すべきかと思っている」
一方、その差し入れ金から、妹に結婚祝いを100万円渡しているとも報じられた。それについては妹から「私が受け取ることで迷惑をかけてしまった」と即日弁護人のもとに電話があったという。山上被告は「すべきではなかった」とその行動を悔いていた。
