エプスタイン島を上空から捉えた写真(米・下院監視委員会の民主党の委員によって公開された写真)
次々と公開される「機密文書」
元被告の性的搾取ネットワークをめぐっては、被害者から実名告発された例もある。英・ヨーク公爵アンドルー王子(65)だ。2001年、当時17歳だったバージニア・ジュフリーさん(今年4月に41歳で死去)は元被告と親交があったアンドルー王子から被害を受けたとして、英メディアBBCなどで告発した。アンドルー王子は、告発内容を断固として否定していたが、2022年に多額の和解金を支払うことに合意している。
当初、エプスタイン関連の議論は、被害者救済などの文脈で細く続くのみだった。
だが状況は大統領選挙渦中の2024年後半に一変する。エプスタイン元被告の“共同被告”である元恋人ギレーヌ・マクスウェル受刑者(63)の裁判関連書類が新たに注目され、これと連動する形でエプスタイン関連文書の全面公開要求が急浮上したのだ。
その空気を読んだトランプ候補は選挙戦の渦中で 「文書公開に前向き」 と受け取られる発言を行い、MAGA陣営は拍手喝采した。
その後、下院監視委員会はエプスタイン関係資料の精査を開始、民主党議員の一部が断片的な文書をリークした。今年2月27日には、アメリカ司法省が約200ページにおよぶ機密指定文書を公開し、さらに米国民の関心が高まった。
2025年11月、上下両院はついにエプスタイン関連文書公開法案を可決。トランプ大統領も政治的圧力の中、署名せざるを得なかった。「被害者のプライバシー保護」「捜査継続部分の秘匿」「数十万ページに及ぶ資料の精査負荷」などから全面公開までには相当の時間がかかると見られている。
そうした中、12月に入って少女たちの性的搾取の現場となったエプスタイン元被告が所有するカリブ海に浮かぶリトル・セント・ジェームズ島(通称“エプスタイン島”)にある邸宅の写真などが公開された。10代の少女らが被害に遭った“悪魔の館”の現場写真は大きな話題となっている。事件はいままさに動きつつあるのだ。
