中学校時代の山上徹也被告
「怒りというよりは…」
ビデオメッセージを見た時の感情を問われた山上は「絶望と危機感だと思います」と答えていた。怒りの感情について問われると、こう答えた。
「安倍元首相本人に対してはないですが、こういった状態になってしまっている……怒りというよりは……困るという感情でしょうか」
「困惑」と答えていることからも、支持していた政治家と統一教会との関係に複雑な心境を抱いていたことが読み取れる。
しかし、このビデオメッセージを機に、「教団の中心人物に大きな打撃を与えること」を生きる目的とした山上は、銃の製造を始め、凶行へと走ってしまった。
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後編記事では、山上被告が語った「安倍首相を対象に定めた経緯」と、銃撃事件直前に行った期日前投票での「意外な投票先」について詳報している。
(後編につづく)
【プロフィール】
鈴木エイト(すずき・えいと)/ジャーナリスト・作家。日本ペンクラブ理事、日本脱カルト協会理事、「やや日刊カルト新聞」主筆。統一教会問題を中心にカルト宗教問題について追い続けていた。著書に『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』『自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言』(小学館)、『「山上徹也」とは何者だったのか』『NG記者だから見えるもの』(講談社+α新書)、『統一教会との格闘、22年』(角川新書)。
