壁掛けのカレンダーは事件が発生した1999年11月のままで、奈美子さんのメモ書きも見られる(撮影:水谷竹秀)

壁掛けのカレンダーは事件が発生した1999年11月のままで、奈美子さんのメモ書きも見られる(撮影:水谷竹秀)

 米国ではDNA情報を基に作成された犯人の似顔絵から、長年迷宮入りしていた事件の数々が解決している。しかし日本では、個人情報保護などの観点から、DNA情報が似顔絵作成などの捜査に十分活用されていないのが実情だ。

 それはDNAの運用について定めた法律が存在しないからで、警察庁は3年前、私の取材に「新たに立法措置を講ずべき特段の事情は生じていないと認識している」と答え、法制化には消極的な状態が続いている。

 奈美子さんを殺害した犯人とみられる似顔絵は、愛知県警が2020年に公開した。しかし、それは犯人の特定につながらなかった。だから悟さんは、より精度の高い似顔絵作成に向けたDNA情報の活用を望んできたのだ。

「他にも未解決事件はたくさんあるので、法制度化してDNAの情報を捜査にもっと活用してほしい。その遺族の思いは訴え続けないといけないから、部屋はとっておきたい。捜査に活用されるようになった時に、部屋を片付けようかなと思っています」

 犯人が逮捕されても尚、遺族の闘いは続くのである。

(了。前編から読む)

【プロフィール】
水谷竹秀(みずたに・たけひで)ノンフィクションライター。1975年生まれ。上智大学外国語学部卒。2011年、『日本を捨てた男たち』で第9回開高健ノンフィクション賞を受賞。他に『ルポ 国際ロマンス詐欺』(小学館新書)などの著書がある。10年超のフィリピン滞在歴を基に「アジアと日本人」について、また事件を含めた現代の世相に関しても幅広く取材を続け、ウクライナでの戦地ルポも執筆。

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