長州力が猪木氏と写った1枚(長州のブログより)
エリートにはエリートの悩みがある
長州はミュンヘン五輪代表の実績を引っ提げて新日本に入団。しかし、同じミュンヘン五輪に出場した全日本プロレスのジャンボ鶴田が、デビュー早々からジャイアント馬場に次ぐナンバー2として活躍したのに対し、長州は新日本でなかなか芽が出なかった。
レスリングなら誰にも負けないという自負がありながら長らく中堅に甘んじた長州にとって、道場での実力がありながらもくもくと前座試合を務めていた藤原は、どこかシンパシーを感じる存在だったのかもしれない。
「べつに俺なんか華やかなスターになろうとは思ってなかったけど、長州からそういう愚痴を聞いて、エリートにはエリートの悩みがあるんだなと思ったよ。長州は不器用だったけど、だんだんその不器用さが個性になっていって、直線的なファイトで成功したよな。レスラーには個性が大事なんだ。それは役者の世界と同じかもしれない。
俺がVシネマによく出ていた時に共演させてもらった松方弘樹さんが、ある有名な役者さんのことをこんなふうに言ってたんだ。『あの人は3行以上のセリフが覚えられない。それぐらい不器用なんだ。でも、その不器用さを続けていくことで強烈な個性になった』ってね。
長州が小賢しい器用なことをやったところで面白くもなんともないんだよ。自分の個性を見つけることで、今の長州がある。昔はよく『地味だ』と言われた俺も、自分なりの個性を貫いたことで今があるのかもしれないな」
取材・文/堀江ガンツ
(第2回に続く)
