2026年高市早苗・首相の野望カレンダー
立ちはだかる「トランプという壁」
ただ、高市首相の「野望カレンダー」の実現は容易ではない。
まず外交面では、中国の強硬な姿勢に有効な対抗策を打ち出せていない。
「トランプ大統領は、中国に友好的な態度に転じています。習近平との会談後、トランプ氏が高市首相に電話し、中国を刺激しないよう助言したとの情報もある。日本の頭越しに習近平と手を握ったトランプ氏から“中国ともっと仲良くしたほうがいい”と圧力をかけられたら、高市首相が逆らうのは難しい。中国に譲歩する姿勢を見せれば、支持基盤である保守層からしっぺ返しを食う可能性があります」(宮崎氏)
党内基盤も依然として弱い。首相が維新と合意したタカ派政策には自民党内の議論が一本化していないものも少なくないため、自民党内の協議がまとまらずに法案提出できない可能性も高い。
しかも首相を支える側近が一枚岩とは言えない。
官房長官の木原稔氏、財務大臣の片山さつき氏、総裁選で「チームサナエ」のキャプテンを務めた小野田紀美・経済安保相、そして腹心の黄川田仁志・沖縄北方相と首相と同じ奈良選出の佐藤啓・官房副長官が“側近5奉行”と呼ばれるが、「総理は重要事項をほとんど1人で決める。側近たちは出身派閥が違うから横の連携がない。一番の腹心である黄川田大臣は北方領土を『外国に近いところ』発言で足を引っぱり、佐藤さんは裏金問題で参院の審議に“出禁”となり副長官の重要な役目である国会対策が担えない」(官邸官僚)という状況にある。
さらに、最大の懸案は維新の連立政権入りの「絶対条件」だった衆院の定数削減問題だ。通常国会に先送りされ、両党は1年以内に結論が出なかった場合、「小選挙区25、比例20」の45議席を減らす法案を提出することで合意。しかし、野党には異論が強く、通常国会で成立が見通せる状況にはない。タイムリミットは秋の臨時国会になる。政治評論家の有馬晴海氏はこう語る。
「臨時国会で定数削減法案が成立しない場合、維新が連立離脱の構えで高市首相に解散・総選挙を迫る可能性がある。連立崩壊の危機であり、そうなれば高市首相が11月解散、12月総選挙を打つ可能性がある」
高市首相にとっても、国民にとっても波乱の年が明ける?。
(前編から読む)
※週刊ポスト2026年1月2・9日号
