高市早苗・首相の「野望カレンダー」の実現は容易ではない(時事通信フォト)
自民・維新と国民民主、公明の賛成によって、物価対策などを盛り込んだ補正予算案がで成立すると、高市早苗・首相は年内の衆院解散を見送る意向を表明。「目の前でやらなきゃいけないことが山ほど控えている」と話す高市首相は、何をやるつもりなのか。2026年の高市首相の動きを予測する。【前後編の後編】
自維国+参政党という連立の枠組み
外交面でも高市首相には正念場がやってくる。
6月にフランスのエビアンで開かれるG7サミットだ。議長を務めるマクロン大統領は中国の習近平・国家主席を招待することを検討しており、仏中両国は12月にマクロン大統領が訪中するのに合わせてパンダの貸与延長意向書に調印した。
高市政権はフランスに習主席のサミット招待について懸念を伝え、慎重な対応を求めているが、習主席が出席となれば日中首脳会談で“直接対決”に発展する可能性もある。
そして夏には、政権は大きな岐路を迎える。
内閣改造だ。政治ジャーナリスト・宮崎信行氏が語る。
「高市首相は夏に内閣改造に踏み切る可能性が高い。狙いは2つ。1つは維新から大臣を出させて連立を強化する。もう1つは国民民主党や参政党などの連立入りです。参政党は閣外協力でもいい。もし、自維国+参政党という連立の枠組みができれば高市政権は絶対安定多数を占めることができる」
そこまでの政権基盤強化を図るのは「憲法改正」案の国会提出を見据えているからだ。高市首相は維新との間で、「9条改正」や「緊急事態条項」の創設についての条文起草委員会を設置、2026年度中に条文案の国会提出を目指すと合意した。
憲法改正の発議には衆参両院の3分の2以上の賛成が必要だが、憲法改正原案を国会に提出するだけであれば衆院100人以上あるいは参院50人以上でできる。しかも、高市首相は臨時国会で「内閣が憲法改正原案を提出することも可能だ」と答弁している。
「高市政権が連立拡大で絶対安定多数を得たうえで、憲法改正原案を策定すれば、安倍晋三・元首相さえできなかった原案の国会提出が可能になる」(自民党保守派議員)
