高野容疑者と”金銭トラブル”にあったという佐藤さん。彼女の友人は「経済的に苦しかった時期もあったと思う」と証言した(友人提供)
一方の佐藤さんも、2021年、18歳の時に第1子を出産。当時は未婚だったとみられる。2023年時点では、ある母子支援施設に住所を定めていた。
シングルマザーとして生きることに、苦悩していたのか。金を稼ぐためか、単なる趣味だったのかは不明だが、出産を終えた2021年ころから彼女は「ふわっち」で配信を始めるようになる。そしてほどなく、高野被告と出会った。
両者がどんな間柄だったのか、正確にはわからない。しかし裁判資料には〈高野いないと生きていけない〉〈オレも愛里なしじゃ生きていけない〉など、配信者とファンの垣根を超えるような“親密”なメッセージの記録も記されている。
しかし金を返さない佐藤さんに対し、被告は徐々に殺意を募らせたのだろう。両者の連絡が途絶えた日から2年後、事件が引き起こされた。
婚約者だった男性は事件をきっかけにPTSDを発症したという。一時は「入院するほど気を病んでいたが、少しずつ日常を取り戻していている」という。
「トラウマを乗り越えたくて、12月5日に愛里がやった“山手線1周”をしました。高田馬場の事件現場からスタートして戻ってきたのですが、やはり怖かったです。自分も狙われるんじゃないかという恐怖が常にあった。でもやってよかったと思っています。
たとえばTikTokだと、投げ銭(課金)の半分が運営に取られます。だから、直接銀行口座やPayPayに振り込みたいと言うファンが一定数いるんです。それを良しとするライバーはかなりいます。でも運営を通さずに“闇”でやってしまうと、配信者とファンという関係は成り立たなくなり、こうした悲惨な事件に繋がってしまうのだと思う。
事件後、私が交際時に知らなかった愛里の一面や過去を知りとてもショックを受けた。でももう彼女を責めるつもりもないし、気持ちの整理はついています。愛里の家族とは連絡がとれず、お墓の場所もいまだにわかりません。だから今までは高田馬場の現場にほぼ毎日手を合わせてきました。今後もずっと命日には現場に行き、彼女の冥福を祈りたいです」
高野被告が抱えていた“金銭トラブル”は、裁判にどれほど影響するのだろうか。今後の公判が注視される。
