さらに「男女用」と「女性用」に分けても、男女用を使うのは、ほとんどの場合男性なのだという。これは、女性が「男性は汚い」と思っているから、などという単純な事情ではない。

「男性は小の時、立ってしますよね。だから、どうしても周囲に飛び散ったり、便座についてしまったりして不衛生なんです。もちろん、男性客には座って用をたしてほしいとポスターも貼っていますが、それでも男性の場合、やはり便座に排泄物がつきやすい」(コンビニオーナー)

 こうした理由から、多くの女性が「男女用」を使いたがらないという。まして、男性が利用した後の「女性用」など、女性にとっては安心して利用できないのだ。前出の居酒屋店長が続ける。

「怒った男性客が、お前らのせいで漏らすんだと怒鳴ったり、店のすぐ横で立小便されたり。たくさん飲んで酔いやすい忘年会のシーズンにはこうしたトラブルが頻繁に起きる。稼ぎ時ですが、憂鬱になります。トイレの改装や増築なんか、金銭的にもスペース的にも無理で、お客さんに協力してもらうしかないんです」(居酒屋店長)

 こうした「女性の意見」にフォーカスが当たるようになったのは、ごく最近のことで、これまでは黙っているしかなかった。男女の違いを鑑み、なんとか今のような状態に落ち着いた状況を「男女差別」とまでは言えないだろう。話題が「トイレ」に関することもあり、女性側が言いにくかったという背景もあるかもしれない。だが、多くのメディアが取り上げ、SNSで活発に議論されるなどして、女性側の「言い分」も広く世の中に知れ渡るようになった。こうした現場を長年見続けてきた居酒屋店長がいう。

「最近では、女性用に入っていた男性がほかの女性客に怒られたり、口論になっているパターンもあります。昔は、女性からは言えなかった。トラブル、と一言で言ってしまうのは簡単ですが、女性が我慢するしかなかった時代よりはマシなはずです」

 女性用にトイレを設置するという概念すらなかった昔、家ではない場所で女性が用を足すのは冗談でなく命がけだった。女性用トイレの設置は、安心安全に過ごすための仕組みづくりのひとつであって、それは今も変わらないはずだ。女性が夜に一人で道を歩いたり電車に乗れる安全な国として日本は知られているのに、酩酊を理由にトイレの安全性がないがしろにされている現実は、社会にとって決して歓迎すべき状況ではない。

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