棚橋と、RWFから新日の社長が誕生することを喜ぶレイザーラモンRG(2023年、RGのXより)
かつてプロレス界は「学生プロレス出身です」と明かすことが憚られる雰囲気があった。格闘技経験がないこと、プロが一段下に見ている「アマプロレス」ともいえる「学プロ」というジャンルに対し、「バカにしてるのか!」的な空気感があったのである。
しかし、立命館大学のプロレス同好会(RWF)出身の棚橋弘至(49)が新日本プロレスを牽引し一時代を築いたのは周知の通りだ。そんな“異色”のレスラーは、2026年1月4日の東京ドーム大会でオカダ・カズチカ(38)との試合をもって現役を引退する。RWFの先輩だった芸人・レイザーラモンRG(51)は、棚橋のこれまでの活躍をどう見ていたのか。
シリーズ「逆説のプロレスVol.26 さらば100年に一人の逸材! 棚橋弘至 『ストロングスタイルを否定した男』真実の物語」(双葉社スーパームック)より、一部抜粋して再構成。【全4回の第3回。第1回から読む】
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お笑い芸人でいえば「ウッチャン」スタイル
――新日本の暗黒時代をリング内外の奮闘で乗り越え、V字回復にまで導いた棚橋選手ですが、お笑い芸人でいえば誰にあてはまりますか?
RG う~ん、客観的にいえばウッチャンナンチャンの内村(光良)さん的なところがあるかなという気はしますね。内村さんはコントが好きで、コント番組の視聴率があまり取れないとされた時期でもなんとか場所をつくってやり続けて、それで下の世代をいっぱい伸ばして育てたじゃないですか。その姿がプロレスをやり続けた棚橋に重なりますね。
プロレス界には今でこそ個性的なインディー団体がたくさんありますけど、それもやっぱり棚橋が新日本でド真ん中のプロレスをちゃんとやり続けたからだと思います。それにプロレスのイメージを時代にあったクリーンな形に変えていったことも大きい。そのおかげで大手のスポンサーもつきやすいし、新たなお客さんも応援しやすいという雰囲気をつくりましたから。
――そんな棚橋選手が2023年12月に新日本の社長に就任したと聞いた時の気持ちを教えてください。
RG 僕は心のどこかで、いつか棚橋が新日本の社長になると思っていたので、それほど驚かなかったですね。プロレスラーの気持ちがわかって、ファン対応とかスポンサー周りも全部できて、それで新日本を愛してる男って、タナしかいないと確信してました。それでも、思ってたよりも早く社長になりましたけど。
「学生プロレス出身」がトップになることの意味
――RGさんから見て、棚橋さんは社長向きだと思いますか。
RG リング上のことはわかりませんが、ビジネスにおいては一歩引くことができる男だと思うんですよ。だから社長のタイプとしては坂口征二さんに近い。それにブシロード体制になってからの社長って、より社会人としての資質が問われるというか、それまでとだいぶ役割が違ってるじゃないですか。それを冷静に差配していけるかどうかという部分で、学生プロレス出身というのが効いてくると思うんですよ。
事実、今は学生プロレス勢がプロレス界の中枢にいるじゃないですか。スターダムの岡田太郎社長もDWA(同志社大学プロレス同盟)にいましたから。関西で学プロをやっていた仲間たちが、日本を代表するプロレス団体のトップにいるっていうのは感慨深いですよ。
