「裁判官が事実を意図的に歪めることもある」
誰でも裁判所にごやっかいになるようなトラブルとは無縁でいたいが、不意に巻き込まれ少数者に追いやられた時に守ってくれるのは法とその運用者の良心しかない。当たり前にあると信じていたそうした人権的なインフラが、気づかぬ間にガリガリにやせ細っているという警告は傾聴に値する。
衆議院選挙のたびに、最高裁判事の名前の下にバツをつける国民審査はもちろん、間接的に裁判所をチェックする国会議員の選挙を通じ、いかに司法にコモンセンスを求めるか、真剣に考える時が来ているのではないかと思えた。
そう質問すると、岡口氏はこう言う。
「国民は、裁判所の判決を正義と受け取りがちですが、裁判官が事実を意図的に歪めることもあるし、それを報道するマスコミが中立とも限らない。裁判官も主権者の下で働く公務員であり、人間であるということをまずは、知ってほしい。そこからしか始まらないと思います」
新しい政治秩序が模索される今、その基盤となる法的インフラが揺らいでいることを知らしめる岡口氏の著書は、権力秩序の変容について、あまたある政治評論とは別のユニークな視点を提示している。
(了)
■取材・文/広野真嗣(ノンフィクション作家)